自動運転時代における「自動運転タクシーの稼ぎ方」について考えたことがあるだろうか。
現存する従来型のタクシービジネスでは、「運賃」が主な収入源であることは間違いない。もちろん自動運転タクシーでも、運賃収入は運行事業者の売上を支える柱の1つになると思うが、先端技術が詰まった自動運転タクシー車両の開発を機に、さまざまなアドテック(広告+テック)が車両で展開され、広告収入も大きな収入源の1つになることが予想される。
では、自動運転タクシー車両に搭載されるアドテックとは、具体的にはどのようなものになるのだろうか。
■「車内向け」と「車外向け」に分類
自動運転タクシー車両に搭載されるアドテックは、大きく分けると「車内向け」と「車外向け」に分類できる。
車内向けのアドテックの一例
車内向けのアドテックとしては、後部座席向けのディスプレイを使った動画広告などが一例となり、(プライバシーに配慮する必要はあるが)配車アプリとの連動などにより乗客の性別や年齢層に合わせて広告配信を最適化できる。
また、自動運転タクシーが走行しているエリアに最も適した広告をディスプレイで配信することも、車両の位置情報と広告の配信プラットフォームを組み合わせることで可能になる。例えば、ある大型スーパーに差し掛かる直前でそのスーパーの広告を流したり、ライブ会場の近くでは公演予定を広告として配信したり、といった具合だ。
広告主は広告料を払っている以上、当然、「無駄な配信」はできるだけ避けたい。上記のような配信の最適化技術は、広告主にとっても喜ぶべきことだ。
また、自動運転車は自動運転レベルが上がるとハンドルなどが不要になるため、車室空間のデザインが多様化し、「天井全体がディスプレイ」といった車室デザインが登場する可能性もある。そうすれば、現在よりもダイナミックな動画広告を乗客に展開できるようになるはずだ。
ちなみに車内向けのタクシーサイネージ広告としては、一例として「Tokyo Prime」などがある。最新の媒体資料は以下からダウンロードすることが可能だ。
▼Tokyo Prime(2022.10〜2023.03)媒体資料
https://tokyo-prime.jp/wp-content/uploads/2022/08/Tokyo-Prime_MediaSheet_202210-03.ver5_.0.pdf
車外向けのアドテックの一例
車外向けのアドテックの例としては、ラッピング広告や車外向けサイネージ広告などが考えられる。すでにラッピング広告の事例も車外向けサイネージ広告の事例もあり、自動運転タクシーの展開と合わせて、こうした取り組みはより加速する可能性が高そうだ。
例えば車外向けサイネージ広告では、タクシー配車アプリを展開するS.RIDE社と、モビリティ向けメディアを展開するニューステクノロジー社が、国内初の車窓モビリティサイネージサービス「Canvas」を2021年6月から展開している。
Canvasでは車窓広告を「走るギャラリー」と形容しており、「タクシーの窓に映しだされた多彩なクリエイティブが、街ゆく人のすぐ目の前に」(公式サイトより:https://canvas-tokyo.jp/)と説明している。
具体的には、タクシーに乗客が乗っていないときに、プロジェクターで静止画をタクシーの窓に投影し、街ゆく人にその静止画を見てもらう形だ。ちなみに以下がCanvasの最新の媒体資料だ。興味がある人は一読してみてはいかがだろうか。
▼Canvas MEDIA GUIDE|October 2022 to March 2023
https://cdn.canvas-tokyo.jp/wp-content/uploads/Canvas_MediaGuide_2022.10-2023.03.pdf
■タクシービジネスの構造が根本から変わる?
自動運転タクシーを展開する事業者が、広告料で十分に稼げるようになれば、乗客から運賃をあまりとらなくてもタクシービジネスが成り立つかもしれない。これは乗客にとっても喜ぶべきことで、タクシービジネスの構造が根本から変わる可能性を秘めている。
自動運転タクシーの登場、そして普及とともに、さらにこうしたアドテックの事例は増え、そしてさらにブラッシュアップされていくはずだ。今から注目しておいて間違いない分野であると言えるだろう。
【参考】関連記事としては「自動運転化でタクシー台数はV字回復!?ラッピング広告に商機」も参照。