AI(人工知能)システムの開発を手掛ける株式会社Proxima Technology(本社:東京都荒川区/代表取締役:深津卓弥)が、川崎重工業の双腕自律走行ロボット「Nyokkey」向けのドア開けアルゴリズムを開発することに成功した。
■ドア開けの実現で行動範囲が拡大
今回Proxima TechnologyがNyokkey向けに開発したドア開けアルゴリズムは、同社独自の制御AIである「Smart MPC」により実装されている。Smart MPCは機械学習とMPC(モデル予測制御)を組み合わせた技術で、非常に少ないデータ(体験)から操作方法を学習できる制御AIだ。プラントや機械制御に使用されているPID制御よりも賢く、強化学習より実用的だという。
ドア開けアルゴリズムの開発にあたり、多様な環境で学習し適応していくことで、多種多様な環境でのドア開けタスクの実現に成功したという。ドア開けの実現によりロボットの行動範囲は大きく広がるようになるだろう。ちなみに、腕のついたロボットがドアを開けるには以下のような困難があったようだ。
- ドアと自分との位置関係の推定
- ドアノブの認識
- ドアや壁に当たらないような軌道の生成
- 台車と腕の協調制御
- 多様なドアの重量・形状に対する適応的制御
自律走行ロボットに関しては、エレベーターを使えるようになったことなどがよく注目されるが、ドア開けができることも屋内移動では非常に重要な要素だ。
■Proxima Technologyはどんな企業?
2018年11月設立のProxima Technologyは、「アルゴリズムで世界を変える」をモットーに、データ解析ソリューションの提供とAIプロダクトの開発を行っている企業だ。2021年6月に「Smart MPC」に関するプレスリリースを発表している。
■新たな技術の発表に引き続き注目
屋内で階をまたいだ移動ができるロボットがドアも開けられるようになれば、ロボットの行動範囲や自動でできることの範囲がさらに大きく広がる。ドア開け可能なNyokkeyの実証実験も近いうちに始まるかもしれない。
今後どんな企業が新たな技術の発表をしてくるか、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自律走行ロボットの種類は?(2022年最新版)」も参照。