「自動運転レベル5の完全自動運転は一般消費者には普及しないと、自動車業界はすでに理解した」——。欧州メディアの取材に対してこう語るのは、ボルボ・カーズのテックファンドの最高経営責任者(CEO)であるAlexander Petrofski氏だ。
さらにPetrofski氏はCGTN Europeの取材に対し、「自動車業界は、完全自動運転はロボキャブやロボタクシーのようなアプリケーションで利用できるようになる、との判断を下した」とも述べた。
要はPetrofski氏が言いたいことは、自動運転レベル5は市販車に搭載して展開されず、移動サービス用のモビリティに搭載されるようになる、という未来予測だ。
■背景にはレベル5の難易度の高さ?
自動運転レベル5は、0〜5の6段階に分類される自動運転レベルの最高位だ。「どんな場所でも」「いつでも」「全く人間が運転に関与しない」自動運転が可能な水準を指す。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義・呼称・基準は?」も参照。
レベル5の実現のためには自動車に搭載される技術はもちろん、法整備やインフラ整備も必要となる。自動車に搭載される技術に関して言えば、車両はクラウドと高速通信しながら、高精度なセンサーを使って常に車両の周辺をセンシングしなければならない。
かつ車両はしっかりとメンテナンスが行き届いていなければならない。レベル5には「運転手」が存在しないため、簡単に故障やエラーが起きるようではいけないからだ。・・・・・・というように、レベル5の車両の安全運行には、お金も掛かるし手間も掛かる。
移動サービスを展開するモビリティであれば、基本的には「企業」がモビリティを購入・レンタル・管理することになるため、費用的にも手間的にもレベル5の移動サービスを展開することが可能かもしれないが、「市販車では難しいのでは・・・」と考える業界関係者は確かにいる。
■Petrofski氏の未来予測は現実になる?
現時点ではホンダがレベル3の自動運転車を発売済みで、移動サービスではレベル4のシャトルなども世界各地で続々とスタートしつつある。レベル5の社会実装についてはこれからもっと議論が進むと思うが、果たしてPetrofski氏の未来予測は現実のものとなるのだろうか。
【参考】関連記事としては「完全自動運転とは?(2022年最新版) いつ実現?」も参照。