スマートフォンアプリを使って自動車の鍵の開閉を行うシステムは、カーシェアやレンタカー事業者には便利だ。このシステムを取り入れれば、「鍵」という物理的なモノをユーザーに手渡さなくても、ユーザーがアプリさえ導入してくれればドアの開閉ができるようにできる。
こうした視点において注目したい報道発表があった。MaaS領域でシステムを提供するZenmovは2022年7月19日までに、スマホアプリで自動車の鍵を開閉するシステムと車両管理システム「トータルソリューションシステム」を開発したことを発表した。
IoT鍵制御システムの開発を手掛けるヨコオと共同で開発したという。
■開閉はアプリで、その他は純正キーで操作
発表されたシステムは、スマホアプリ、車両に搭載されるハードウェア、クラウド上でそれらを連携する管理用ウェブページ、の3つで構成されている。
利用者はスマホアプリで車の予約状況を容易に確認でき、24時間365日いつでも予約可能だ。管理者によって車両メンテナンスなどで予約できない日を指定されていることもあるが、タイミングが合えば予約と同時に車を利用することもできるという。
利用方法は次の通りだ。利用者はまずスマートフォンでクルマを開錠し、純正キーをグローブBOXから取り出す。車のエンジンをかけたりドアをロックしたりする際は純正キーを利用する。使用後は純正キーをグローブBOXに戻し、スマートフォンでクルマを施錠する。鍵の戻し忘れを防止するために音声ガイダンスも付いているという。
事業者は車両の利用時間や走行距離などを管理ページで確認でき、利用者のニーズに合わせて車両台数を増減させたり、車両整備のタイミングを把握したりしやすくなる。
■Zenmovとヨコオが役割分担して開発
Zenmovが予約管理システムの開発を担い、ヨコオが鍵開閉システムの開発を担っている。予約管理システムにおいて、Zenmovのサーバー上ではウェブブラウザで予約情報や利用履歴を管理できる管理者向けのサイトを管理している。利用者がスマートフォンアプリで車両の予約や鍵の開閉を行うと、Zenmovのサーバーから権限が付与される。
一方、鍵開閉システムにおいては、ヨコオのサーバーは車載器から車両情報を受け取ると、開閉指示を出す。ちなみに両システムはAPIで連携しており、予約システムから車両に搭載された鍵の制御ボックスまでをトータルでサポートできるため、導入しやすい。
■キーレスのさらなる普及に期待
すでに物理的な鍵の受け渡しが発生しない形でカーシェアを展開している企業もあるが、キーレスがより広く普及すれば、事業者にとってもユーザーにとっても良い事尽くめだ。両社の取り組みに今後も注目したい。
【参考】関連記事としては「鍵はオワコン?スマホで「エンジン始動」「ドア解錠」可能に スマートキー、カーシェア普及に追い風」も参照。