自動運転車や自律走行ロボット、ドローン向けの「秘密分散技術」が開発されている。自動運転車などが盗まれたり通信が途絶えたりした際、搭載されたプログラムの秘密性の確保やデータの保守のため、これらのプログラムやデータを瞬時に無意味化する技術のようだ。
こうしたプラグラムやデータが流出すれば、自動運転・自律走行用のプログラムや飛行経路情報、知的財産データなどの機密情報、プライバシー情報などが盗用・悪用される可能性があるため、自動運転車やドローンを展開する企業にとっては有用な技術と言えそうだ。
この技術の展開に向け、ITコンサルティングを手掛けるネクストウェア、データセキュリティを展開するZenmuTech、ドローンソリューションプロバイダーのアイ・ロボティクスの3社が連携して取り組んでいる。
すでに技術検証は完了しており、2022年内に国内外の自動運転車業界や航空機メーカーやドローン運用事業者、防衛装備業界などに提案していくという。
■「分散片」にすることで情報流出を防ぐ
どのようにプログラムやデータを無意味化するのか。プログラムやデータをそれ自体で意味を持たない「分散片」にリアルタイムに分け、それぞれを別の環境で管理することで外部へのデータ流出を防ぐのだという。
全ての分散片を集めないと情報の復元が不可能であり、一部の分散片を物理的に切り離したり、破壊したりすることで、残りの分散片は意味を持たないデータのままになり、復元が不可能となる。
以下が報道発表で説明されている内容だ。ドローンへの搭載を前提にした説明となっている。
今回発表する「インテグリティ・ドローン」技術は、ZENMU-AONT(※編注:ZenmuTechの秘密分散技術)を利用し、ドローンに独自の技術でマイクロ化されたアルゴリズムを搭載し、システム上でリアルタイムにデータを分散化しています。その分散片を通信でベースステーションに送ったり、想定外の事象が起きた場合には自動消去されたりする仕組みを組み合わせて実現していきます。
この技術により、ドローン内に蓄積されたデータやプログラムは「想定された運用状況下にのみ意味を持つ」という設定が可能で、仮に通信途絶や落下といった想定外の状況下となっても「ドローンの自分自身による無意味化」を提供していきます。(出典:https://www.atpress.ne.jp/news/313717)
■次第にマーケットが拡大か
近年、産業領域や物流領域においてドローンが使用される機会が増え、自動運転車の開発・商用化も進んでいる。実用化に伴い、秘密分散技術の重要性はより増していくはずだ。次第にマーケットが拡大していく可能性が高そうだ。
【参考】関連記事としては「コネクテッドカー×セキュリティ、市場拡大で大手参入が活発化」も参照。