建設コンサルタント大手の日本工営株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:新屋浩明)は、栃木県那須塩原市で自動運転バスの実証実験を2022年5月21日〜6月5日に実施すると発表した。
道路標識などを手掛けるアークノハラとの連携で、塩原温泉郷を周遊するルートで1日8往復程度運行するという。
今回の実証実験の特徴の1つとしては「ICT LED 電光掲示板」を使用する点がある。
■自動運転バスが近づくと「接近中」と表示
このICT LED 電光掲示板はアークノハラが開発する製品で、自動運転バスが近づくと任意の文字列を表示させる機能を有する。
具体的には、自動運転バスにのせたスマートフォンなどの位置情報端末と通信を行い、自動運転バスが接近した時にだけ文章を表示することができるという仕組みだ。
今回の実証実験では、見通しの悪いカーブの手前にICT LED電光掲示板を設置し、自動運転バスが来ると「自動運転バス 接近中」などと表示し、一般車両に注意を促す。
また、自動運転バスが到着する観光施設にもICT LED電光掲示板を設置し、「まもなく 到着します」などと表示するという。ちなみにこのICT LED電光掲示板はソーラーバッテリーでの動作が可能だといい、縦長であるため道路脇や電柱に設置しやすいことが特徴だという。
■自動運転レベルは「2」の実証実験
今回の実証実験は、2025年度に自動運転システムを導入した路線バスの本格運行を目指す「栃木県ABCプロジェクト」の一環で実施される。
プロジェクト名のABCは「自動運転システム(Autonomous)を導入した路線バス(Bus)の本格運行を目指した挑戦(Challenge)」の頭文字からネーミングされており、2020年度〜2023年度に自動運転バスの実証実験を行うというものだ。
使用するのは、群馬県のEV開発企業であるシンクトゥギャザーが開発した環境配慮型スローモビリティ「eCOM-10」で、最高時速19キロで走行する。今回の乗客定員は9人。
この車両に、群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センターが開発した自動運転システム(レベル2相当)を搭載し、走行する。
■「インフラ側から」というアプローチ
自動運転バスの運行では、車両に搭載される技術に注目が集まりがちだが、道路側やインフラ側から自動運転バスの安全な運行に貢献するというアプローチもある。今回はそうしたアプローチの代表的なものの1つと言えそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転バスが迷惑駐車に悩まされなくなる!アークノハラが「ICTゲート」開発」も参照。