「自動運転車を開発するのは自動車メーカー」。もしこうした考えを持っているなら誤りだ。IT大手もこの領域に乗り出しているし、最近ではスマホ大手の参入に関するニュースも飛び交っている。
例えば中国のスマホ販売企業OPPOも自動運転EV(電気自動車)の製造へ向け、本格的にプロジェクトを始動させているようだ。
■OPPOのCEOが直々に自動運転EVに取り組む
OPPOは2014年に設立された中国の企業だ。元々はDVD再生機器などの電子機器を扱っていたが、現在はスマートフォン事業が主力事業だ。Appleなどとは異なり、全て自社工場で製品の生産や品質管理を行っていることで知られている。日本ではOPPOブランドはあまり浸透していないが、グローバル市場では2021年、一時Appleを抜いて世界シェア2位(販売台数ベース)となっている。
そんなOPPOは2020年12月、新興EVメーカーの中国Li Auto(理想汽車)と協力関係を結び、2021年1月には自動運転技術に関する特許の出願内容を公表して、自動車分野への進出を匂わせていた。
自動車プロジェクトのリーダーはOPPOのCEO(最高経営責任者)であり創設者であるトニー・チェン氏が担っている。このことからも、OPPOの自動運転EV事業に対する本気度がうかがえる。
2021年12月には、OPPOがインドにおいてこの3年間で自動運転EVなどの商標登録を次々と申請していることが報じられた。すでに距離測定システムや高度なカメラ、車両測位装置の開発にも取り組んでいるようだ。
着々と準備を進めているOPPO。2022年に具体的な自動運転EVの発売計画を公表する可能性は大いにありそうだ。
■同業他社も進める自動運転EVプロジェクト
スマホ開発企業では米Appleのほか、中国のXiaomi(シャオミ)やHuawei(ファーウェイ)などもすでに自動運転EVプロジェクトを前進させている。
シャオミに関しては2021年12月、レイ・ジュンCEOが2024年にEVの生産を開始すると発言したことが報道された。すでに中国国内での工場設立に取り組み始め、その工場で年間3,000台生産する計画のようだ。1万人以上が研究開発に携わっているという。
自動運転EVに関する投資規模は少なくとも100億ドル(約1兆1,500億円)規模とされ、自動運転EVを開発する子会社「Xiaomi EV」の設立も完了している。
【参考】関連記事としては「中国のスマホ大手シャオミ、2024年にEVを生産開始」も参照。
Appleも自動運転の実証実験に取り組み、自動運転関連の求人を出していることから、プロジェクトが進んでいることは確かだ。2025年のローンチを計画しているとの報道もあるが、Appleから具体的な発表はない。
ファーウェイは車両自体を製造するのではなく、自動運転車に必要な自動運転技術や通信技術、センサーなど車両を開発する企業に提供するスタイルだ。自動運転技術については2025年までの確立を目指していると報じられており、LiDARセンサーの開発に着手したことも明かされている。
■スマホ大手各社の動きもウオッチ対象に
Appleやシャオミ、ファーウェイ、そしてOPPOなど、スマホ大手による自動運転技術の開発が進む。自動運転業界を俯瞰するには、自動車メーカーやIT大手の動向をチェックするだけではすでに不十分だ。スマホ大手各社の動きもウオッチ対象に加えよう。
▼OPPO公式サイト
https://www.oppo.com/en/
▼Xiaomi公式サイト
https://www.mi.com/index.html
▼Huawei公式サイト
https://www.huawei.com/jp/
【参考】関連記事としては「「2030年に新車販売の20%が自動運転車に」 ファーウェイ、2030年の中国市場を予測」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)