画像認識技術開発を手掛ける英スタートアップHumanising Autonomyの行動予測AI(人工知能)「Behavior AI」は、自動運転の実現に大きく貢献すると考えられる。
行動予測AIは、コンピュータービジョンに行動心理学の要素を加え、これまで困難とされてきた人間の行動を予測するものだ。
■日本勢も出資するHumanising Autonomy
2017年に設立したイギリス企業のHumanising Autonomy。同社のソリューションは、単眼カメラとAIにより人の行動を高精度予測することで人と車両との接触リスクを把握し、事故の発生を未然に防ぐ。
この技術は、英国で最も権威のあるビジネス関連の賞「The Queen’s Award for Enterprise: Innovation 2021」を受賞し、イギリス国内で話題になった。
すでに自動車メーカー大手の独ダイムラーをはじめ、航空機メーカーの仏エアバスやロンドン市交通局、アイシングループのAISIN Technical Center of Americaなど、ヨーロッパやアメリカ市場をはじめ、日本企業とも実証実験や商用プロジェクトを進めている。
2019年6月にはベンチャーキャピタル事業を展開するグローバル・ブレインから、2021年11月には日本ユニシスグループからと、日本からの出資も受けている。
■ホンダも行動予測AIの関連技術を紹介
行動予測AIに関しては、ホンダも2021年10月にドイツで開催された「ITS世界会議ハンブルグ2021」において、関連技術を紹介した。AIを用いた予知予測・協調行動による自動運転システムだ。このシステムには、歩行者の行動を読む技術と潜む危険に備える技術が含まれる。
歩行者の行動を読む際には、歩行者の顔や体の向き、動作履歴、道路構造、手をあげたり傘をさしたりするなどのジェスチャーによって行動を予測し、歩行者が移動するであろう軌跡を予測する。危険を先読みして回避するために使用される。
一方で潜む危険に備える際には、対向車が渋滞している場合に急に歩行者が飛び出してこないようあらかじめ減速し、いざというときにも停止できるようにする。
■行動予測AIのさらなる進化に期待
自動運転社会の実現に向け、世界中の企業や団体がさまざまなソリューションを開発している。行動予測AIも要素技術の1つで、自動運転レベル4以上の、人が運転に介入しない技術段階においては特に重要な技術と言える。従来はベテランドライバーが状況を見て判断していた操作を、AIが取って代わらねばならないためだ。
Humanising Autonomyやホンダ以外でも、行動予測AIを開発する企業が技術を発表する可能性は大いにある。行動予測AIの今後のさらなる進化に期待したい。
▼Humanising Autonomy
https://www.humanisingautonomy.com/
【参考】関連記事としては「自動運転で注目!国内外スタートアップ45社を総まとめ」も参照。