コロナ療養施設での運搬業務、自動配送ロボで完全自動化に成功!フロア移動も無人で

大分県が実証実験の結果を報告



出典:大分県

大分県は2021年9月17日までに、県が運営する宿泊療養施設で実施した無人配送ロボットの運用実証について、結果を報告した。詳しくは後述するが、3つ課題に挑戦し、それぞれを解決するに至っている。

実証実験は、自動配送ロボットの開発などを手掛けるFIG株式会社(本社:大分県大分市/代表取締役社長:村井雄司)と同社のグループ企業4社とともに実施した。無人配送ロボットを使い、入所者への食事配膳やゴミ回収などを試すという取り組みだ。


ちなみにFIGグループの4社は、ロボットソリューションを展開するciRobotics、アプリ開発などを手掛けるモバイルクリエイト、半導体開発の石井工作研究所、映像システムを手掛けるケイティーエスとなっている。

■運搬業務のフルオートメーションは「全国初」

実証実験は2021年3月4日〜4月23日に行われ、無人配送ロボット「WILL」が宿泊療養施設に入所している療養者へ食事を配送したりゴミを回収したりした。運搬業務をすべてオートメーション化した取り組みは全国初で、7月には報道機関向けに運用デモを公開している。

出典:大分県(クリックorタップすると拡大できます)

実証実験ではFIGがプロジェクトマネジメント、ciRoboticsがロボット開発やシステム全体の管理、モバイルクリエイトが自動配送システムなどの開発、石井工作研究所がロボットや付帯設備の開発、ケイティーエスがマルチメディアシステムとの情報連携を担った。

■「3つの課題」を実証実験ですべてクリア

大分県とciRoboticsなどは今回の実証実験に取り組む前の2020年5月、テープ上を走行する無人配送ロボットに弁当の配送やゴミ回収をさせる試験的な取り組みを実施し、あらかじめ3つの課題を抽出していた。


1つ目の課題は、ロボットが同一フロアしか移動できず職員が療養者のフロアに行かねばならないこと、2つ目の課題は、ロボット操作者が操作する上で電波が届くようロボットと同フロア内にいなければならないこと、3つ目は受け取り確認のために都度電話での連絡が必要なことだった。

今回の実証実験では上記の課題を解決すべく、まず「SLAM技術」で走行するロボットを採用することでホテル内にテープ施工せずに指定した部屋へ配送できるようにした。

そのほか、ロボットがエレベータを使って移動できるようにし、ロボットの到着時に客室のテレビを使って受け取り確認を自動化するシステムも導入した。

【参考】関連記事としては「SLAMとは?位置特定と自動運転地図の作成を同時に」も参照。


■アフターコロナにおける活躍にも期待感

今回の実証実験は、主に新型コロナウイルス感染症の対策として実施された取り組みだが、ロボットによる自動配送はコロナ禍が収束したあとも、さまざまな現場で人の作業負担を軽減するのに役立つ。

人口が減っている日本において人手不足は深刻な問題だ。自動配送ロボットの活躍への期待感は大きい。

▼【結果報告】宿泊療養施設での無人配送ロボット開発・導入実証について|大分県
https://www.pref.oita.jp/soshiki/14240/poc-deliveryrobot-result.html

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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