内閣府の規制改革推進会議内で分科会として行われている「投資等ワーキング・グループ」。2020年12月15日に行われた第6回の会議では「自動運転の実装に向けた環境整備」が議題となった。
この会議のの中で、ソフトバンク子会社で自動運転車両の運行プラットフォームを開発するBOLDLY株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:佐治友基)からは「自動運転に係る規制改革要望」が提出された。
■BOLDLYが要望した4項目は?
BOLDLYが要望した項目は以下の4項目だ。
1. 歩行者用道路における低速自動運転バスの走行許可
2. 自動運転車両の専用道・優先通行帯の設定
3. 路線バスの停留所の共用
4. 道路使用許可に必要な施設内審査合格者の全国一括管理
例えば2の「自動運転車両の専用道・優先通行帯の設定」においては、「路上駐車をシステムで安全に回避することは困難」とした上で、「路面電車と同様の専用道の設定」と「路線バス優先通行帯の自動運転バスへの適用」を求めている。
4の「道路使用許可に必要な施設内審査合格者の全国一括管理」においては、現在は道路使用許可の審査は各都道府県警察が個別に行っていることに触れた上で、「施設内審査における審査項目は同じであるため、1箇所の施設内審査で合格した者は、他の都道府県で再度受験する必要がないよう、合格者を全国で一括管理してほしい」としている。
4項目のそれぞれについては以下の4ページに詳しい内容がそれぞれ掲載されているので、興味がある人は読んでみてほしい。
▼自動運転に係る規制改革要望|BOLDLY
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/toushi/20201215/201215toushi02.pdf
■佐治氏「運賃から脱却するというビジネスモデルを」
BOLDLYはソフトバンクの100%子会社として2016年に設立され、自動運転バスの運行や運行管理システムの提供を行ってきた。
現在は低速自動運転バスを中心に、羽田イノベーションシティでの定常運行、茨城県境町での一般公道定常運行を行うなど、実証実験フェーズから本格運用フェーズへと取り組みを前進させている段階だ。
ちなみにBOLDLY代表取締役の佐治氏は今回の会議で「運賃から脱却するというビジネスモデルをどんどん増やしていきたい」とも語っている。
例えば茨城県境町では最初の5年は自治体が負担をし、それ以降については「地域の復興拠点とか、文化拠点とか、そういったところが持ち合いでお金を出し合って、住民は無料で乗っていただく、その先に移動量が増えて、スーパーとか病院とかで1,000円、2,000円使ってもらったほうが、100円、200円の運賃で稼ぐよりも、町全体としてもうかるというビジネスモデルを創出したい」と語っている。
▼第6回投資等ワーキング・グループ議事録
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/toushi/20201215/gijiroku1215.pdf
■河野大臣が警察庁に対して協力を促す場面も
また、今回の会議においては内閣府特命担当の河野太郎大臣が警察庁に対し、自動運転を推進する上で「明日やろうと思ったら、こういう条件ならできるというのを持ってきて、それをどういう順番で、どういうタイミングで解除していくのかということを、きちんとお尻を決めて持ってきてください」と、協力を促した。
自動運転社会の実現は技術の進化と規制緩和の両輪で進んでいく。今後も官民が参加する議論の場でどのようなことがテーマとなり検討されていくのか、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自治体×自動運転バス、定常運行「国内初」は茨城県境町!BOLDLYとマクニカが協力」も参照。