デンソーのMaaSへの取り組みが活発だ。独自のMaaSサイト「DENSO MaaS〜IoTでクルマがつながる。ヒトとモノの移動がかわる〜」を開設して、デンソーが考えるMaaSのコンセプトや技術を詳細に説明している。
MaaSがさらに広まる社会において、世界トップクラスの自動車部品メーカーであるデンソーがどのような役割を果たそうとしているか、デンソーのMaaSサイトを見ていこう。
■デンソーとMaaS
デンソーは、乗用車やバス、トラックなどのさまざまなモビリティをクラウドで接続することにより、クラウド上のデジタル都市空間で現実の交通社会を再現する技術を開発している。
その上で、デジタル都市空間で行ったシミュレーション結果を現実のサービスやモビリティにフィードバックしている。具体的なユースケースとして紹介されているのが「ラストマイル・モビリティ」と「交通予測」だ。
ユースケース①ラストマイル・モビリティ
「ラストマイル・モビリティ」では、都市内での短距離移動、特に電車などではカバーしきれないドアツードアの移動を、AIが現在いる位置と目的地情報から判断して提供したり、モビリティ同士の組み合わせをリコメンドしたりするというコンセプトを紹介している。
ユースケース②交通予測
「交通予測」においては、普段から道路やモビリティのデータを収集して交通の状況を把握することで、天候の変化など状況に応じてルートをリコメンドしたり、渋滞が発生しないように車を導いたりすることができるというコンセプトとなっている。
このようにデンソーのMaaSは自動車部品メーカーという枠を越えて、主にクラウドコンピューティングでモビリティをつなぐということを実現している。
■MaaSに関連する2つのコア技術
デンソーMaaSサイトにおける「TECHNOLOGY」の箇所においては、MaaSに関連する主に2つの技術を紹介している。
1つ目は、リアルタイムにモビリティからのデータ収集やモビリティのデバイス制御が可能となる「Mobility IoT Core」だ。モビリティの状態をクラウドに連携させることができるエッジコンピューターで、デンソーは今後、全てのモビリティにMobility IoT Coreを提供しようとしている。
もう1つは「Digital Twin」で、先ほども紹介したが、デジタル空間で交通が再現できるシステム技術だ。Digital TwinではMobility IoT Coreで収集されたデータが使用されるという。
これらの技術は、米ラスベガスで行われた技術見本市「CES 2019」においても紹介されている。「DENSO URBAN MOVES」という形でMobility IoT CoreやDigital Twinを含む将来のモビリティサービスを体感できるモックの展示を行い、人気を博した。
■【まとめ】デンソー×MaaS、既にサービス化も
デンソーではこのMaaSサイトに掲載されているもの以外でも、MaaSに関連するさまざまな取り組みを行っている。例えばMobility IoT CoreやDigital Twinを生かした事例としては、すでに2019年から販売を開始している社有車管理のシステム「フリートオペレーションサービス mobi-Crews」がある。
このmobi-Crewsは、車載通信端末を車両に取り付け、MaaSプラットフォームを使ってリアルタイムに車両の情報を収集・提供することで、社有車管理を効率化し、運行管理や安全運転を支援することもできる仕組みだ。
2020年に入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大も鑑み、個室空間としてのクルマの重要性にも着目し始め、新たな展開を模索しているようだ。デンソー×MaaSの取り組みに、引き続き注目していきたい。
【参考】関連記事としては「デンソー、法人向け社有車管理システム「mobi-Crews」の発売開始」も参照。