調査会社の株式会社矢野経済研究所(本社:東京都中野区/代表取締役社長:水越孝)はスマートカーの世界市場の調査を実施し、関連技術分野の動向や主要自動車メーカーの取り組み、将来展望を2020年10月4日までに発表した。
この調査ではスマートカーを「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング・サービス、電動化)を高い次元で実現したクルマ」「V2X(Vehicle to Everything)通信機能と自動運転レベル4の高度自動運転システムを搭載したEV(電気自動車)」と定義している。
レポートによれば、2035年のスマートカー世界生産台数は、Drasticな予測で1,141万台(市場全体の9.2%)、Conservativeな予測では148万台(同1.2%)に拡大するという。
■個人所有車より「MaaS専用車両」で先行
この調査では、個人所有車におけるスマートカーの広がりは当初は限定的で、タクシーやシェアリング、バスなどの「MaaS専用車両」が先行してスマートカー化すると予測している。
その理由としては、スマートカーでは、カメラやLiDARなどのセンサー、高容量LiB、通信モジュールなどの高額な部品を搭載する必要があるからだとしている。
■レベル4の法整備のスピード感にも注目
スマートカーがどれだけ生産されていくかは、各国における自動運転解禁に向けた法整備の状況も大きく関わってくる。そもそも自動運転車が公道を広く走行できるようにならなければ、完成車メーカーなどがスマートカーを製造しないからだ。
いま世界では自動運転レベル3の解禁に向けた動きが加速しており、日本でもレベル3が解禁され、国際的にもレベル3の基準が採択されている。次はレベル4の法整備がどのようなスピード感で進んでいくのかにも、注目していきたいところだ。
【参考】関連記事としては「AI自動運転やMaaS、ライドシェアなどの将来市場規模予測10選」も参照。