白線ロボットや動くイス… 自動運転はクルマだけじゃない!

日産やトヨタ、ZMPの取り組み続々

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自動で白線を引くロボット「ピッチアール」=出典:日産プレスリリース

自動運転の開発で培われた技術やアイデアがさまざまな分野で活躍している。日産自動車は2018年5月28日、サッカーUEFAチャンピオンズリーグの決勝戦で、同社の自動運転支援技術から着想した、自動的にサッカーのピッチに白線を引くロボット「ピッチアール」を披露した。

ピッチアールは、電気自動車のリーフなどに搭載している自動運転支援技術「プロパイロット」の技術から発想を得ており、4つの車載カメラからの映像とGPS(全地球測位システム)による位置追跡、衝突防止システムを活用している。芝生やアスファルト、砂利といった路面でも、環境に優しい溶解性塗料を使って20分でラインを引くことができるという。

【参考】プロパイロットは、運転者がセットした車速(時速30~100キロメートル)を上限に、車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行い走行するインテリジェントクルーズコントロールと、車線中央付近を走行するようにステアリングを制御し、運転者のハンドル操作を支援するハンドル支援を行うシステム。詳しくは日産自動車の公式サイト「プロパイロットについて」を参照。

同社は2016年にもプロパイロットから着想を得たイス「プロパイロットチェア」を公開している。先行するイスを認識し、一定の距離を保ちながら追従する機能や指定されたルートに合わせて自動でストップ・アンド・ゴーを行う機能を搭載した。

2018年1月には、300年以上の歴史を誇る箱根の老舗旅館「一の湯本館」の協力のもと、自動駐車技術「プロパイロットパーキング」を活用した未来のおもてなしを披露している。スイッチひとつで玄関先のスリッパが自ら客を迎える位置に整列するほか、客室では座布団やテーブル、リモコンなども自ら定位置に移動する技術だ。

自動運転ベンチャーZMPは動く台車

一方、自動運転技術開発ベンチャーの株式会社ZMPは、自動運転技術を荷物を運ぶ台車に応用した製品「CarriRo(キャリロ)」をすでに商品化している。

力を入れずに手元のレバーで操作でき、後方の台車が先頭の台車を追従する機能が搭載されている。また、経路を設定することで自律移動する機能や、RFID(ID情報を埋め込んだタグから無線通信により情報をやり取りする技術)から読み取った在庫情報を連携させる機能なども開発中という。

トヨタ自動車は、自動車生産用の産業用ロボット技術や自動車の開発技術を応用し、医療分野での研究開発を進めており、2017年に脳卒中などによる下肢麻痺のリハビリテーション支援を目的としたロボット「ウェルウォーク WW-1000」を製品化している。

米シリコンバレーを拠点とするスタートアップ企業Cobalt Roboticsは、屋内警備を担うセキュリティロボットを開発した。AI(人工知能)やさまざまなセンサーを搭載し、設定されたルートを巡回したりランダムに移動しながら、問題や異常を検知し管理室に通報する。人物や物も認識可能で、備品管理機能や定時以降にオフィスに残っている人に対して身分証明書の提示を求める機能なども備えているという。

自動運転と他分野のコラボに期待

自動車関連産業は、周辺産業を含め産業規模が大きく、波及性の高い技術をベースにする産業。また、自動運転に必須のAIなども汎用性が高く広範な産業への波及や新産業を生みやすい分野だ。今後も自動運転技術と他分野との技術交流や商品開発などは続きそうだ。

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