自動運転、ソフトウェア更新で「特定改造等」の許可制度を創設

道路運送車両法改正に基づき、2020年11月からスタート



国土交通省は2020年8月10日までに、自動運転車両の適切なソフトウェアアップデートに向けた環境確保に向け、「自動車の特定改造等の許可制度」を創設し、この制度を2020年11月からスタートすることを発表した。


今後実用化される自動運転車両は、搭載するソフトウェアを無線通信でアップデートすることで、機能の追加やセキュリティの強化が図られていくが、従来の道路運送車両法は通信によるソフトウェアの大規模なアップデートが想定された内容になっていなかった。

そんな中で2019年5月に改正法が公布され、その改正に基づいて今回の許可制度が創設される形だ。今後は一定の要件を満たした上で、国への届出やアップデート情報の記録などを行うことで、機能強化などの「改造」が認められることとなる。

【参考】道路運送車両法の改正については、自動運転ラボでも以前「【解説】自動運転解禁への道路交通法と道路運送車両法の改正案の概要」で解説しているので、参考にしてほしい。

■「許可の要件」と「遵守事項」について

国土交通省は報道発表で「許可の要件」と「遵守事項」について概要を説明している。

まず「許可の要件」については以下の通りだ。


  • 能力:申請者が、適切なソフトウェアアップデート及びサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務管理能力を有すること
  • 体制:申請者が、ソフトウェアアップデートに起因した不具合の是正を適確に実施するために必要な体制を有すること
  • 保安基準適合性:ソフトウェアアップデートされた自動車が保安基準に適合すること

「能力」は原則3年ごとの審査となり、「体制」と「保安基準適合性」は1件ごとの審査となる。

「遵守事項」は以下の通りだ。

  • 許可の申請書等に所定の変更事項が生じた場合における国土交通大臣への届出
  • ソフトウェアアップデートの実施状況、当該アップデートに関する情報の記録・保管
  • アップデート車両のサイバーセキュリティに対する脅威及び脆弱性の監視、検出及び対応
  • アップデートの目的及び内容、新しい機能の使用方法に関する情報の使用者への提供
■急ピッチで進む法整備やルール作り

新技術といえる自動運転技術を実用化に向けては、従来の法律や制度では対応しきれない点が多々ある。そのため現在、法整備やルール作りが急ピッチで進められており、今回の新制度の創設もその一部であると言える。

詳しくは国土交通省のプレスリリース「自動車の特定改造等の許可制度を本年11月より開始します」からも確認できる。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事