業務用ロボット開発などを手掛ける株式会社イクシス(本社:神奈川県川崎市/代表取締役社長:山崎文敬、狩野高志)と、建設大手の株式会社「安藤・間」(本社:東京都港区/代表取締役社長:福富正人)=安藤ハザマ=は2020年4月8日までに、「自律走行式ひび割れ検査ロボット」を開発したことを発表した。
このロボットは床面のひび割れ検査で自動走行・自動撮影ができると同時に、AI(人工知能)により撮影画像からひび割れを検出し、その結果を自動で図面に表示することもできるという優れもののようだ。
従来のひび割れ検査は専門的な知識を有する検査員が目視で実測を行い、検査結果を写真やスケッチで記録していたため、多くの時間がかかっていた。この検査ロボットの開発によって検査業務の自動化や作業工程の削減ができ、従来と比べると約40%の時間短縮となるという。
■ひび割れ検査ロボットの5つの特徴
このロボットの主な特徴は5つあるとされている。一つずつ紹介していこう。
検査範囲の自動検出
1つ目は、「検査範囲の自動検出」である。検査範囲を指定するだけで床を一定間隔で撮影し、幅0.1ミリメートル以上のひび割れを0.1ミリメートル単位で自動検出できる。検出したひび割れは幅ごとに色を分けて表示できる。
照明の光量・角度が一定に保てること
2つ目は「照明の光量・角度が一定に保てること」である。検査ロボット専用の撮影装置は遮光カバーに覆われているため、カメラと床面の距離やフラッシュライトによる照明の光量・角度が一定に保つことができ、常に同条件での画像取得が可能となる。
SLAM(スラム)による自動走行
3つ目は、「SLAM(スラム)による自動走行」である。スラムとは、自動走行するための自車位置を推定する手法のことで、自動走行で障害物を回避しながら1500平方メートルの範囲を約6時間で検査できる。
リアルタイムな画像転送
4つ目は、「リアルタイムな画像転送」である。検査ロボットで撮影した画像は無線LANを通じてパソコンに随時転送され、AIによってひび割れ検出を即座に行う。従来の撮影画像をサーバーにアップロードするプロセスが不要になり、スムーズな記録データの作成を実現する。
ロボットとパソコンのみで一連の業務ができること
5つ目は、「ロボットとパソコンのみで一連の業務ができること」である。位置情報の取得から図面表示まで、一連の検査業務を「検査ロボットとパソコンのみ」で対応可能だ。検査ロボットは操作が簡単なことに加え、重量は約35キログラムと手軽に持ち運びできる。
■【まとめ】移動だけではないさまざまな用途に注目
今後はこのロボットをさまざまな大空間構造物の工事現場に導入し、検査業務の効率化をどんどん進めていくという。移動手段としての「自動運転」にも注目が集まっているが、こうした工事現場での「自律走行」のロボットにも注目だ。
【参考】関連記事としては「建築現場で活躍する自動運転ロボットを共同開発 イクシスと安藤ハザマ」も参照。