WHO(世界保健機関)が「パンデミック」と表明した新型コロナウィルスの感染拡大問題。感染者が多い中国では外出禁止の措置が広がる中、自動運転車が活躍している。どのような用途で活躍しているのか。また今後はどのように活用される可能性があるのか。
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■食料配達を担い、人と人の接触を減らす
一部報道によれば、中国・電子商取引(EC)最大手のアリババや中国の電子商取引大手の京東商城(JD.com)などが、中国のスタートアップ企業「Neolix(新石器)」に自動運転の宅配用EV車を200台注文したという。
この報道では具体的な車両については発表されていないが、2019年6月に発表された自動運転物流ロボットではないかと見られる。発表されたロボットは自動運転レベル4(高度運転自動化)の技術を搭載しており、大量生産を開始することが明らかにされていた。
今回の新型コロナウイルスは飛沫感染などによって広がっていく。ただこうした自動運転の配達車両を使えば、荷物を配達車両に積む人と荷物を配達車両から受け取る人も接近することはない。
【参考】関連記事としては「レベル4級の自動運転物流ロボ、中国Neolix社が大量生産へ」も参照。
自動運転物流ロボット、中国スタートアップが大量生産へ 京東商城やファーウェイに納品か https://t.co/ZcLtfJIOve @jidountenlab #中国 #自動運転 #物流ロボット
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 8, 2019
■医薬品の配達にも活躍
中国の京東商城はこれまでに、武漢市で初の自動運転車による医薬品の配送を完了したと発表している。同社の発表によれば、この自動運転車は同社の配送ステーションから600メートルの場所にある病院まで医薬品を配送したという。
病院でベッドが足りなくなると、症状が軽い人は自宅での療養を余儀なくされる。そうした場合、スーパーマーケットからの食料品の配達だけでなく、病院からの医療品の配達も必要となる。これを無人化できれば食料配達のときと同様、新たな感染を拡大することにつながる。
■遠隔診断ができる機器を積んで、患者宅へ
具体的な活用例はまだ中国メディアの報道では見掛けないが、車両に遠隔診断ができる機器を載せ、その車両が自動運転で患者宅を訪れるという仕組みも、実際に実現すれば活躍しそうだ。
遠隔診断用の機器の前に患者が座ってテレビ電話を通じて問診などを受けられれば、患者も医師も移動の手間が減り、飛沫感染も防ぐことができる。
■無人で道路などを消毒してまわることもできる
中国国内では、道路の消毒が可能な自動運転車が街中をめぐっているようだ。
国を問わず伝染病などが広がると、消毒車に乗った人が消毒剤を散布してまわる光景がテレビによく映ると思うが、こうした光景はもはや昔のものになっていくかもしれない。消毒剤を散布する人も防護服の損傷などで少なからず感染リスクにさらされるため、消毒車は早く自動運転化されるのに越したことはないだろう。
■【まとめ】感染症拡大が気付かせる自動運転技術の有用性
感染症自体はもちろん一刻も早く終息してほしいが、新型コロナウイルス問題は結果として、自動運転技術の有用性を世間に広く気付かせることにつながっている。こうした活用方法をさらにブラッシュアップし、今後の感染症対策に生かしていくという視点が重要だろう。
【参考】関連記事としては「新型肺炎対策で自動運転デリバリー車!中国出前大手「美団点評」が導入」も参照。