自動運転向けセンサーの代表格と言えば、「カメラ」「ミリ波レーダー」「3D LiDAR」「超音波センサー」の4つだ。それぞれに機能や役割が異なり、長所と短所もある。それぞれの短所を補う万能センサーを開発する動きもあるが、現在の実証実験などでは複合的に使用されているのが一般的だ。
今回はこの4つのセンサーについて、自動運転についてはビギナーである人向けに、機能や役割、長所と短所についてざっくりと説明していこう。
記事の目次
■カメラ:対象物の識別に強みがあるが…
「カメラ」を使うと、撮影した映像を画像処理することで対象物を識別することができる。ほかの車や歩行者のほか、信号機の色や道路標識を識別することにも使われる。
自動運転向けのカメラは主に「単眼カメラ」と「ステレオカメラ」の2種類だ。単眼カメラは障害物などの検出、ステレオカメラは対象までの距離も計測できることが強みだが、夜間や逆光、霧などの悪天候下には物体の識別が困難になることが弱みとして挙げられる。
■ミリ波レーダー:小さい物体を検知できるが…
「ミリ波レーダー」は、ミリ波(電磁波の中で波長が1〜10ミリ)を照射し、対象物などから反射して戻ってくるまでの時間から障害物までの距離を測定するものだ。基本的な原理は後述のLiDARや超音波センサーと同じだ。
長所としては、夜間や悪天候下でも障害物などの方向と距離を計測可能なことと、3D LiDARと比較すると安価なことが挙げられる。一方で、小さい物体の検知が困難なことや段ボールなどの反射率の低い物体の検知が困難なことなどが短所となる。
■3D LiDAR:3次元イメージを取得できるが…
LiDARはレーザー光(赤外線)を照射することで対象物を識別することができる。赤外線はミリ波レーダーよりも波長が短いため、一般的にミリ波レーダーよりも小さな物体を検知できるのが特徴だ。自動運転向けに対応した「3D LiDAR」を使うことで、周辺環境の3次元イメージを取得できることが強みだ。
一方で短所としては悪天候時に検知能力が低下することや、ミリ波レーダーと比較して高価なことが挙げられる。
■超音波センサー:近距離の検知は得意だが…
超音波センサーは、周波数の高い超音波を使用して対象物を識別する。音波(超音波を含む)は電磁波よりも伝搬速度が遅いのが特徴であるため遠距離の検知には不向きで、10メートル程度までの近距離の検知に用いられる。
ただすでに駐車時の障害物検知などで実用化されているため、安価で手に入れられるという良さがある。
■【まとめ】将来の「標準」はまだ未知数?
各センサーの機能や役割、長所や短所を説明してきた。この中でも3D LiDARは「自動運転の目」と呼ばれ、特に市場の拡大が見込まれているセンサーだ。
ただ最近ではカメラだけで4つのセンサーの機能を備えようという動きもあり、センサーに関しては将来的にどのような形が標準とされるかは、まだ未知数な部分もある。
【参考】関連記事としては「常識覆す…自動運転の目”LiDAR”に不要論 格安AIカメラの仕掛け人」も参照。