カーシェアの一形態として伸びを見せる個人間カーシェアサービス。自家用車が実際に使用されている稼働率は平均4~5%と言われており、車庫や駐車場で眠っている時間の方が多いのが現状だ。この時間を有効活用して自家用車を貸し出すC2Cサービスは、お金を受け取ることができるオーナーだけでなく、車種や地域、料金など選択の幅が広がるため、借りる側にもメリットが発生する。
今回はこのC2C型カーシェアに焦点を当て、各社のサービスを調べてみた。
記事の目次
■個人間カーシェアとは?
自家用車を使わない時に貸したいオーナーと、乗りたいドライバーをマッチングするサービス。道路運送法上、有償によるクルマの貸し借りはレンタカー業にあたり許可が必要となるため、プラットフォーム側はマッチングサービスや保険など付随するサービスを提供することとし、ユーザー間においては共同使用契約を結ぶなど、レンタカー業に該当しない仕組みを採用している。
一般的な利用方法は、オーナーが登録した車両の中から条件に見合うものをドライバーが探し、予約リクエストを出す。オーナーが承認すれば予約完了となり、アプリに搭載されるチャット機能などで打ち合わせを行った後、待ち合わせ場所で直接受け渡し・返却を行う。その後、ドライバー・オーナーが互いを評価する。
ドライバーは車両の使用料や保険代金、オーナーはプラットフォーム使用料を負担するケースが多い。登録料や月額基本料などは多くが無料だが、ドライバーは運転免許証、オーナーは車検証などの提示が必要となる。
■代表的な個人間カーシェアサービス
Anyca:登録車数6000台突破 独自のオーナー向けプログラムも
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供する個人間カーシェアマッチングサービス。2015年9月のサービス開始から3年間で登録会員数17万人、登録車数6000台を突破するなど、全国規模で人気を博している。
自己所有車を貸したいオーナーは会員登録後、シェアしたいクルマの車検証登録や車種、画像、貸し出し場所、貸し出し可能な日時、装備、料金、仕様、特徴、注意事項などを登録し、あとはリクエストを待つだけ。
クルマを借りたいドライバーは、場所、車種、ボディタイプなどで検索し、条件に合った車を探し、予約リクエストを出す。オーナーが承認すれば予約確定となり、アプリ内のチャットで受け渡しや細かい条件などを打ち合わせることができる。待ち合わせ場所でクルマの受け渡しを行い、返却後は互いにレビューし合う。
登録・月額基本料無料で、ドライバーはオーナーが提示した共同使用料と1日自動車保険(1800円)、新規にオーナーと契約した場合契約料(100円)がかかる。オーナーは、プラットフォーム手数料として共同使用料の10%を運営に支払う。ガソリン代の負担は、ドライバーとオーナー間の契約内容による。
オーナー向けのプランとして、レンタカー登録及びカーシェア受け渡し用の機器を取り付けてカーシェアすることを条件に、運営から一定額が支給されるプログラムなどもあるようだ。
このほか、サービス内容などを紹介するオーナー説明会や、登録車両の写真撮影会などを定期的に開催している。
公式サイトは「こちら」。
【参考】Anycaについては「DeNAのカーシェア「Anyca(エニカ)」、サービス3周年で登録17万人超に」も参照。
3周年で登録17万人超!DeNAの自動車シェアサービス「Anyca」 登録車数は6000台を突破 https://t.co/qvObso7p3I @jidountenlab #DeNA #Anyca #3周年
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) November 4, 2018
CaFoRe(カフォレ):個人間カーシェアサービスの草分け的存在
インターネット関連事業を手掛ける株式会社trunkが運営する個人間カーシェアマッチングサービス。2009年からサービスを提供している老舗で(当初は株式会社ブラケットが運営)、2019年3月末時点で1620台が登録されている。価格は1時間単位や1日単位のものが混在している。
ドライバーのリクエストに対し、オーナーが承認すればリスポンス出品し、それをドライバーが落札する仕組み。ドライバーは決済システム利用料として落札代金の8%を運営に支払う。また、オーナーは成約手数料として落札価格の10%を運営に支払う。
万が一の事故に備え、ドライバーには「ドライバー保険会員」、オーナーには「レンダー補償」への加入を義務付けている。
公式サイトは「こちら」。
dカーシェア:レンタカーやカーシェア事業者と比較しながら検索可能
通常のカーシェアサービスやレンタカーサービス、個人所有のカーシェアサービスを網羅したプラットフォームサービスで、NTTドコモが運営している。プラットフォーム手数料は、共同使用料の10%となっている。
車両は基本的に借りたい場所から検索し、レンタカーやカーシェア事業者を含めて検索結果がマップ上に表示される。それぞれ比較してクルマを借りたい場合に便利なサービスだ。
公式サイトは「こちら」。
GO2GO:2019年春サービス開始 事前登録者数は7000人を突破
中古車買取・販売大手の株式会社IDOMが2019年春に開始予定の個人間カーシェアマッチングサービス。2018年11月末からオーナーの事前登録を受け付けており、3月17日時点の登録者数は7000件を突破したという。まずは東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪をエリアとし、順次拡大を図っていく見込みだ。
基本的な使い方はAnyca同様で、プラットフォーム使用料は20%となっている。任意設定で、ドライバーが安全運転したかどうかがわかる運転評価システムなども導入されるほか、スマートフォンから鍵を開閉するスマートロックの開発を進めているという。
このほか、中古車販売店ガリバーなどの全国約500の店舗がカーシェアの不安や面倒をサポートしてくれる。
公式サイトは「こちら」。
【参考】GO2GOについては「【インタビュー】カーシェア参入、「派手な車」より「乗りやすい車」で挑む IDOM社・GO2GO責任者の天野博之氏に聞く」も参照。
最後発からカーシェア業界No.1王者に駆け上る方法 ガリバー運営会社のIDOM、事業担当者に自動車ビジネス専業企業の戦い方を聞く https://t.co/dVJ7xpRYZ7 @jidountenlab #IDOM #カーシェア #GO2GO
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) December 28, 2018
■【まとめ】潜在需要は膨大、安全対策向上で急激な市場規模拡大も
個人間カーシェアのトラブル事例で最も多いのは、予約当日に待ち合わせ場所に来ないなどのドタキャンという。このほか、廃車になる事故を起こされて対応に苦慮するといった話も聞かれる。保険対応されるとはいえ、安全対策はドライバー・オーナー双方にとって最も関心を集める重要事項で、こういった際にサービス提供事業者がどのようなフォローをしてくれるのか、またどのようなフォローが可能なのかといった点は今後の課題となりそうだ。
自家用車を貸したいオーナーの潜在需要は相当高いものと思われ、こういった不安要素を取り除くことで爆発的にサービスが広がる可能性がある。
例えば、借りる側に対して、評価システムだけでなく日ごろの安全運転状況が把握できるようなシステムを構築し、優良ドライバーは割引を受けられるなどのサービスがあっても良いかもしれない。また、環境に貢献するシェアリングエコノミーの観点から言えば、カーシェア登録車両は税制優遇されるなどの施策があっても良いかもしれない。
まだまだ発展途上のマッチングサービスであり、今後、認知度の向上とともにさまざまなサービスが開発・展開されるものと思われる。各社の動向に引き続き注目したい。
【参考】関連記事としては「カーシェアリングとは? メリットやデメリットは? MaaSの一端を担うサービス」も参照。
ゼロから学び直す「カーシェア」 実はトヨタ自動車も参入済み https://t.co/EIkHBcgUTg @jidountenlab #カーシェア #MaaS #まとめ
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) April 1, 2019