Amazonが「自動車製造」部門を立ち上げ

年産1万台のロボタクシー工場



Amazon傘下の自動運転開発会社Zoox(ズークス)がこのほど、ロボタクシーを年間1万台生産できる専用工場の体制を整えたことが明らかになった。


ハンドルやペダルを持たない革新的な車両で配車サービスを展開する同社は、単なる「移動サービス」の提供者にとどまらず、「自動車メーカー」としての側面を併せ持つ存在となった。

ただ、米連邦法が定める生産・運行上限という強固な規制が壁となっている。

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■「年間2,500台」の壁

米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は2026年7月30日、専用設計された車内操作装置のないロボタクシーとして初となる商用免除措置をZooxに認めた。これを受け、同社は8月10日からラスベガス・ストリップにおいて有料での運行サービスを開始した。

今回の免除措置により認められた運行台数は、メーカー1社あたり「年間2,500台まで、期間2年間」に限定されている。この2,500台という制限は、米議会が定める法律上の明確な上限数値となっている。


出典:Zooxプレスリリース

■競合Waymoとのアプローチの違い

Zooxは既存の量産車にセンサーやカメラを後付けする方式を選ばず、最初から人間が運転することを前提としない専用車両を一から設計した。

競合となっているWaymoは、ジャガーの「I-Pace」や「Zeekr」といった既存の自動車メーカーが製造した車両に、自社の自動運転システム(Waymo Driver)を搭載するアプローチを採用している。

車両には、人間が運転するためのハンドルやペダル類が残されているため、従来の自動車安全基準に則った通常の車両認証をそのまま取得できる。WaymoはZooxのようなNHTSAの特別免除措置や運行台数の上限制限に縛られることなく、保有車両を迅速に増やすことが可能となっている。

そのため、Waymoはすでに約4,000台規模のフリートを展開可能であり、台数に関する連邦法上の上限に縛られることはない。


■米政府の法規制の塩梅に左右

Zooxはカリフォルニア州の専用工場で年間1万台のロボタクシーを生産する能力を備えて設計されている。しかし現行法の下では、年間の生産・許可枠の2,500台はわずか13週間(約3カ月)の工場稼働で使い果たす。

Zooxが推し進める「車両開発・製造・移動サービス」の一体型モデル(垂直統合モデル)は、自動運転業界における理想的な姿の一つだ。年間1万台規模の生産工場は、将来的な大規模展開を見据えた強力なインフラとなり得る。

将来的に年間1万台の生産ラインが可能となれば、他社に対する強力な競合優位性へと変わるはずだ。ただZooxのビジネスは当面、アメリカ政府の法規制の塩梅に左右されることになりそうだ。

【参考】関連記事としては「Amazonが犯罪!?自動運転車向け「バグコマンド」を大量生成」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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