芝浦工業大学(所在地:東京都港区/学長:村上雅人)情報通信工学科の森野博章准教授は2018年7月29日までに、アナログテレビで使用されていた700メガヘルツ帯の周波数を活用した車車間通信が、高速道路での自然渋滞を解消する有効な手段になることを示す研究成果を発表した。
同准教授の研究班は、東北自動車道・矢板インターチェンジ近くで測定した渋滞発生時の車両走行データを基に、車車間通信導入の模擬実験を行った。その結果、国内を走る車両の4割が、車車間通信が可能な車載器を使用すれば、渋滞頻発箇所でも平均走行速度が約10%向上することが分かった。
発表では「同方式を自動運転に組み込むことも可能」とされている。今後は人が運転する車両と自動運転車両が同じ路上を走行する状況下での模擬実験を実施する方針だという。
模擬実験の結果を踏まえ、車車間通信には700メガヘルツ帯で動作する無線通信方式「ARIB T-109」を推奨する。同方式は、送信電力を変化させて伝搬距離が短い通信(100メートルほど)と長い通信(最大約1000メートル)の2つのモードで切り替えができる。
【参考】詳しくは芝浦工業大学のプレスリリース「車々間通信を用いてリアルタイムな渋滞解消支援手法を提案」も参照。
導入した車両は、短距離通信モードにより、速度や位置の情報を周囲の車両と交換しながら走行する。低速の状態が一定時間継続し、前方に車両があれば渋滞の初期段階と判断して、長距離通信モードに切り替えて後方にいる車両に情報を送信する。
受信した後方車両は、事前に設定した速度を上回っていれば、減速するよう運転手に促す。
これまで車車間通信は、出合い頭で起こる衝突事故の危険検知や隊列走行に活用されてきた。渋滞解消にも効果を発揮することが社会的に認知されれば、一般にも普及する可能性が高まりそうだ。
【参考】700メガヘルツ帯の活用については総務省プレスリリース「700MHz帯安全運転支援システムについて」も参照。
たった1台の自動運転車が渋滞を緩和させるワケ 米ミシガン大学が研究 https://t.co/xbBCTseWc7 @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 24, 2018