ソニーは2018年6月19日、定時株主総会を開催した。この中で、4月に社長兼最高経営責任者(CEO)に就任したばかりの吉田憲一郎氏は「自動運転時代の到来は環境負荷の低減にも寄与することが期待される」とし、自動運転分野を同社の2020年代における社会貢献の柱とする考えを示した。5月に発表した中期経営方針でも画像処理センサー開発などの設備投資に3カ年で1兆円を充てる方針を表明しており、自動車会社さながらの力の入れようだ。
ソニーグループの2017年度の売上高及び営業収入は、モバイルコミュニケーション分野とその他の分野を除く全ての分野で増収となり、前年度比12%増の約8兆5440億円、営業利益は同155%増の約7349億円となった。2018年度は吉田社長の新体制のもと中期経営計画に沿って事業を進める。
【参考】中期経営方針については「ソニー、3年で1兆円を自動運転向け画像処理センサー開発などに投資|自動運転ラボ 」も参照。
ソニーのこれまでの動きから自動運転事業への本気度がうかがえる ソニー、3年で1兆円を自動運転向け画像処理センサー開発などに投資 https://t.co/uil1JvsMMP @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) May 24, 2018
具体的には①ユーザーに近いサービスとクリエイターに近いコンテンツIP(知的財産権)の強化②映像と音を極める技術でクリエイターとユーザーをつなぐエレクトロニクスを持続可能なキャッシュカウ事業にする③半導体(CMOSイメージセンサー)の領域でイメージング用途での世界ナンバーワンを維持し、センシング用途でもナンバーワンとなる―の3点を挙げている。
■イメージセンサーと自動運転
特にCMOSイメージセンサーはIoTや人工知能(AI)、自動運転など今後発展が期待される領域におけるキーデバイスに位置付け、車載センシングなどの新しいアプリケーションを育てていく方針。
投資領域では、コンテンツIP、DTCサービス、半導体IPへの継続投資とAI×ロボティクス医療に対する長期的視点に立った取り組みを進めることとし、この3年間は利益成長よりもリカーリング(継続的に収益を生み出すビジネスモデル)比率の増加などで利益の質を高めることに軸足を置く。半導体分野では、イメージセンサー向けを中心に3カ年で約1兆円規模の最も大きな研究開発と設備投資を行う予定だ。
広範囲に事業展開するソニーがイメージセンサー関連に注力することで、その名を自動運転分野でとどろかせる日も遠くないのかもしれない。