センシング技術に強みを持つアルプスアルパイン株式会社(本社:東京都大田区/代表取締役社長:栗山年弘)とGNSS受信機やETC車載器を開発する古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市/代表取締役社長:古野幸男)は2021年10月24日までに、高精度測位のGNSSモジュール「UMSZ6シリーズ」を共同開発したことを発表した。
2023年中の量産開始と、グローバル展開を目指しているという。
■コスパよく高精度な車両位置測位を実現
日本では自動運転レベル2の普及が進み、2020年には改正道路交通法などが施行され、自動運転レベル3の市販車の販売も開始されている。
自動運転レベル3は一定の条件下であればアイズフリーが可能だ。自動運転レベル3の普及に向けては、より使い勝手が良く、より高精度な車両位置測位が求められているが、「UMSZ6シリーズ」がそれを実現したと言える。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?定義・呼称を徹底解説!市販車はレベル3、バスはレベル4に挑戦」も参照。
古野電気側が取り組んだこと
今回の共同開発にあたり、古野電気は独自の多周波GNSSチップ「eRideOPUS 9」とアルゴリズムを開発した。多周波GNSSチップは、ノイズの影響を極限まで抑制するExtended Carrier Aiding技術により、コスト削減に寄与する。
また、幅員約3メートルの一般道でも補正情報無しで車両位置誤差50センチの高精度な車両位置測位を実現した。これは車載向けにおいては世界初だという。
アルプスアルパイン側が取り組んだこと
一方、アルプスアルパインは「UMSZ6」として古野電気のチップを初めて活用した。同時に、同社がこれまで培ってきたモジュール化技術により、車載品質を保ちながら製品サイズ17.8×18.0×3.11ミリまで小型化した。
小型化は顧客の設計の自由度を高める。実車環境での性能を今後精査し、実証を通して5Gなどほかの通信モジュールとの連携も評価していくという。
■どこまで完成度を高めていけるのか、注目
そもそもGNSS(Global Navigation Satellite System)とは「全球測位衛星システム」という意味で、アメリカのGPSと日本のQZSS(準天頂衛星)、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileoなどの衛星測位システムの総称だ。
自動運転車が安全に走行するためにGNSSは欠かせない要素であり、位置情報によって提供するコンテンツを変えるスマートカーにおいても必須の要素だ。
うな自動運転レベル3の普及に向け、より使い勝手が良く、より高精度な車両位置測位が求められている。小型でコスパもよく高精度を実現するモジュールは自動運転社会の実現に向けて不可欠な要素だ。
今回発表された新GNSSモジュールはこうした背景もあって開発されたもので、どこまで完成度を高めていけるのか、または他社からさらに優秀な製品が出てくるのか、今後の展開にも注目していきたい。
【参考】関連記事としては「位置特定の新技術「VPS」、自動運転向けに検証中!PLATEAUプロジェクト」も参照。