「自動運転技術」と聞くと、自動車や荷物の運搬などでの活用をイメージする人が多いかと思うが、いま福祉業界からも自動運転技術に熱い視線を注がれている。
移動ロボットを開発する筑波大学発スタートアップ企業である株式会社Doog(本社:茨城県つくば市/代表取締役:大島章)は2020年10月2日までに、シンガポールの高齢者福祉業界において1人乗りの自動運転車椅子型ロボット「ガルー」が導入されたことを発表した。
■ガルーとは?これまでの導入実績は?
ガルーは、Doogのシンガポール子会社Doog Internationalが2019年に製品化した空港向けの搭乗型ロボットだ。人の移動を補助するため、自動追従機能やライン走行機能を搭載している。すでに国内外の空港関係事業において導入や実証が進められてきた。
シンガポールのチャンギ国際空港では2019年から数十台が導入されている。制限区域内の車椅子移動サービスとして活用されていて、1人のスタッフが複数の客と一緒に移動できるため、生産性が飛躍的に向上したという。
■高齢者福祉サービスの提供企業がガルー導入
そんなガルーを今回導入するのは、シンガポールで高齢者福祉サービスを提供するLentor Residence社だ。
これまで福祉業界でのお出掛けサービスは、多くのスタッフが同行して福祉自動車と手押し車椅子で移動していたが、それをガルーに切り替えることで、少ないスタッフでも対応できるようになる。
例えば自動追従機能によって、スタッフが1人でも2人以上の利用者と同時に移動することが可能となる。自動追従機能は場所を問わずどこでもすぐに利用することができるため、サービス提供エリアが制限されることが無いのが魅力だ。
さらに、ラインに沿って目的地まで走行するライントレース機能や、周囲の風景を基に自動で走行するメモリトレース機能なども活躍しそうだ。
今回のガルーの導入で、より多くのスタッフが生産性の高い業務に従事できるようになることや、お出かけサービスが利用しやすくなることが期待されるという。
■日本国内でも介護業界や医療業界で積極展開へ
Doogは、ガルーを日本国内でも介護業界や医療業界で積極的に展開していく予定で、高齢者福祉や医療現場などにおいて活用しやすい機器に進化させていきたいという。Doogの今後の発表に引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転、介護業界における活用アイデア 高齢者の移動、重い物の運搬、見守り…」も参照。