自動運転開発、トヨタは進み、ウーバーは後退する——。新型コロナウイルスの影響が広がる中、そんなことを感じる今日このごろだ。
2020年5月12日、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市/取締役社長:豊田章男)は2020年3月期の決算発表を行い、「未来への投資と新たなモビリティ社会に向けた投資は『やり続ける』」と明言し、2021年に着工予定の自動運転やAI技術の実証都市「Woven City」についても「やり抜く、やり続ける」と強調した。
一方でトヨタと同じく自動運転開発に力を入れるライドシェア最大手の米ウーバー・テクノロジーズは、コロナの影響でライドシェアサービスが不調となり、自動運転技術の担当部署の従業員を含む約6700人の人員削減をすると明らかにしている。ダラ・コスロシャヒCEOは「中核事業に集中する」と述べている。
■コロナで自動運転への注目は高まった
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が苦しい状況に立たされているが、自動運転への注目は高まっている。コンタクトレス配送など非接触型サービスの需要が高まり、自動走行が可能な配送ロボットにも熱い視線が集まっている。これらを追い風に自動運転実用化への動きは社会的・技術的にもこれまで以上に加速していくことになる。
コロナ収束後の生活様式の変化を見据えれば、今は苦しくとも、自動運転技術の開発からの「撤退」ではなく「推進」を選択することが長期的な利益となるのではないだろうか。
自動運転への投資を続けることを決めたトヨタと、事業縮小に向かっていくウーバー。苦境に立たされた2つの企業の選択は、自動運転領域における両社の将来に大きな影響を与えることになりそうだ。
【参考】関連記事としては「【全文】必読!トヨタ2020年3月期決算、章男社長スピーチ」も参照。