「POI」という略語を知っている人はどれだけいるだろうか。「Point of Interest」の略語で、直訳すると「興味のポイント」「興味の地点」となり、マップデータの作成においては、人々が関心を寄せそうな場所・地点をマッピングする際などに使われている。
引き続き「POI」はこのように使われていくと思われるが、自動車業界においてはやや異なるアプローチでこの「POI」という単語が使われ始めている。それは、クルマに乗っている人の目線や話した言葉から、外の景色の中でその人が関心を寄せている対象物(=すなわちPOI)を見つけ出そうというものだ。
■自動運転車と「POI」の関係性
自動車業界ではいま、コネクテッドカーや自動運転車の開発が進んでいる。自動車がクラウドと5G通信でつながることで自動運転化が可能となり、自動運転が可能なクルマでは将来的に窓のディスプレイ化によるコンテンツ配信などが有望視とされている。運転のために外が見えなくても良いからだ。
窓がディスプレイ化されることで、AR(拡張現実)的なサービスも提供可能になる。例えばディスプレイを透明化して外の景色が見えるようにすれば、そこに外の景色に関する情報をARで表示させることができるようになるわけだ。
このサービスの利便性をより高めるための方法として、前述の「POI」技術の導入がある。外を眺めるその人が興味を持ってみている対象物を特定できれば、その対象物に特化した情報をより多く提供することが可能になるからだ。
■将来有望なPOI、今後は参入企業が増える
既にこうした技術の開発に取り組んでいる企業もいくつかある。その一社が米Cerenceで、運転手の目線や言動からPOIを指定可能な技術の開発に取り組んでいるようだ。
こうした今はまだ市場自体は無いものの将来有望とされる技術の開発は、不確実性というリスクは伴うもののその領域でフロンティアになれれば、企業としての大きな成長を実現させることにつながる。
そんな成長領域の一つがPOIで、今後も前のめりに同技術の開発に力を入れる企業が増えていきそうだ。
【参考】関連記事としては「ついにフロントガラスにナビ情報!ジェスチャーで操作可能 米セレンス、AI自動運転化で重宝される技術」も参照。