東京空港交通など7社は2019年11月、MaaS(Mobility as a Service)を活用して空港リムジンバスと自動運転タクシーを連携させた都市交通インフラの実証実験を行う。
空港リムジンバスと自動運転タクシーが連携したサービスは世界初の試みで、大きな注目を集めそうだ。
■空港から丸の内エリアをMaaSでシームレスに
実証実験に参加するのは、東京空港交通株式会社と東京シティ・エアターミナル株式会社、日本交通株式会社、日の丸交通株式会社、三菱地所株式会社、株式会社JTB、株式会社ZMPの7社。
東京都が実施する2019年度の「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」に選定された事業で、MaaSを活用した効率的な配車サービスによって空港リムジンバスの拠点と東京駅周辺を自動運転タクシーでつなぎ、スマートフォンなどで複数の交通手段を一括して予約・決済できるサービスの検証を行うとともに、インバウンド需要や職業ドライバー不足への対応を検証する。実証期間は11月中の2週間で、2019年9月ごろにウェブサイトで利用者を募集する予定。
具体的には、日の丸交通とZMP、三菱地所が2018年夏に丸の内エリアで取り組んだ自動運転タクシーの実証実験を発展させる格好だ。成田・羽田空港からのリムジンバスが到着する東京シティエアターミナル(東京都中央区)から丸の内パークビルディング(東京都千代田区)までの約3キロの区間で自動運転タクシーを走行させ、リムジンバスと自動運転タクシーの両方を一括で予約・決済できるプラットフォームサービスを提供する。
モビリティを連携させることにより空港から都心部である丸の内エリアへのスムーズな移動を可能にし、交通混雑の解消や環境負荷の低減を図るだけでなく、年々増加するインバウンド観光客の移動の効率化も期待できるほか、交通弱者のサポートや慢性的なドライバー不足への対応を企図している。
この自動運転技術と複数インフラ連携を用いた計画により、先進的な都市交通インフラの導入可能性を検証し、国際都市・東京の更なる機能向上を目指す構えだ。
【参考】ZMPと日の丸交通の取り組みについては「【密着・最前線】ZMPと日の丸交通の自動運転タクシー実証実験、参加第1号モニターが語ったこと」も参照。
■自動運転システムやMaaSサービスに注目
実証実験には、ZMPが開発したミニバンタイプの自動運転タクシー(RoboCar MiniVan)2台を使用し、日本交通と日の丸交通がそれぞれ運行する。
東京空港交通は空港リムジンバスを運行し、三菱地所と東京シティ・エアターミナルは施設を提供する。JTBは、MaaSに適応した旅行サービス化を検討・販売することとしている。
自動運転システムの詳細やプラットフォームの詳細などは明かされていないが、2018年夏のZMPらの取り組みでは、車線変更や右左折、停止などすべての制御をシステムが自動で操作する仕組みで、タクシードライバーが運転席に、技術担当オペレーターが助手席にそれぞれ乗車し、交通状況などにより介入することとしていた。自動運転レベル4(高度運転自動化)に限りなく近い水準だ。
また、自動運転タクシーを予約し乗車するためのスマートフォンアプリ、ルート確認、降車時の決済操作などを行う車内タブレットアプリ、遠隔地で走行を監視するシステムをZMPが構築し、スムーズなタクシーサービスの運営をサポートしていた。
今回の実証においても同等の自動運転システムで臨むのか、あるいはより洗練されたシステムに進化しているのか。そして、JTBが検討する「MaaSに適応した旅行サービス」といったMaaSの実用化を見据えた取り組みはどのような形になるのかなど、今後注目を集めそうだ。
実証実験の運営・管理、
>>【全4回特集・目次】自動運転の進化、鍵は実証実験!〜その最前線に迫る〜
>>【インタビュー】自動運転の実証実験をトータルサポート!「縁の下の力持ち」のエイジェックマーケティングリサーチ社(特集:自動運転の進化、鍵は実証実験!第1回)
>>【解説】自動運転の実証実験に欠かせない最重要12項目とは!?(特集:自動運転の進化、鍵は実証実験!第2回)
>>空港から都心へ!自動運転タクシーも使うMaaS実証、気になる内容は?(特集:自動運転の進化、鍵は実証実験!第3回)
>>自動運転のアクセプタンス(受容性)向上の鍵は「モニター参加」にあり(特集:自動運転の進化、鍵は実証実験!第4回)
【参考】MaaSについては「MaaS(マース)の基礎知識とを徹底解説&まとめ」も参照。