国土交通省は2018年5月25日、日本国内の空港の制限区域内における初の試みとして、乗客乗員の輸送を想定した自動運転の実証実験を行うと発表した。空港における地上業務の労働力不足が深刻化している中、将来的には自動運転車の導入で業務量の削減につなげたい考えだ。
人手不足や高齢化などが進んでいる日本では、新たな移動手段として自動運転技術が注目されてきた。実証実験は空港建屋の周辺などの車両通行帯で実施され、安全性や走行環境などについて検証が行われる予定だ。本格的な稼働に向けた課題の洗い出しも進められる。
国土交通省は2018年7月ごろに公式サイトで実証実験の実施者を募り、2018年10月から2019年2月ごろにかけて実証実験を実施する。この実験への参加は、「公道における実証実験の実績があること(レベル3以上)」に加え、「車両自律型及び路車連携型のいずれかもしくは両方であること」が条件として定められている。
【参考】実証実験の公募情報など詳しい内容については、国交省の「報道発表資料」を参照。自動運転レベル3の定義については「自動運転レベル3の定義や導入状況は?日本・世界の現状まとめ|自動運転ラボ
■日本国内でも進む実証実験
日本国内でも進む自動運転車の実証実験。自動運転ベンチャーのZMP(本社・東京都文京区/代表取締役社長:谷口恒)は東京お台場地区の公道で2017年12月、運転席に運転手が座らない状態での自動運転車の実証実験を実施している。
日産自動車は2018年3月にDeNAとタッグを組んで、無人運転タクシーの実証実験を神奈川県横浜市のみなとみらいで開始した。これは、日産とDeNAが共同開発中である新しい交通サービス「Easy Ride(イージーライド)」の実現を目指すためのものだ。
国土交通省主導で実施される空港での実証実験にどの企業が参加するのか、注目が集まる。国交省によると、実証実験は羽田空港、成田空港、中部空港、仙台空港のいずれかで実施される予定。