香港メディアなどによると、中国のライドシェア大手Didi Chuxing(滴滴出行、ディディチューシン)が早ければ2018年度中に香港市場での上場を目指していることがわかった。上場時の時価総額は700億~800億ドル(約7兆7000億~8兆8000億円)に達する可能性があり、実現すればライバルの米ライドシェア大手Uber(ウーバー)の約700億ドルを上回る公算だ。
DiDi社は2012年に設立。当初はタクシーの即時配車サービス用のアプリを提供していたが、徐々に事業を拡大。ライバル社の快的打車との合併や中国3大インターネット企業のテンセント、アリババ、百度(バイドゥ)からの出資をもとに急成長を遂げ、2015年には年間乗車回数14億回を達成した。
2016年には、ライバルのウーバー社が中国で展開するウーバーチャイナを買収し、中国のライドシェア市場において一時、一人勝ち状態にまで上り詰めた。同年は1日平均の乗車回数が2000万回以上となり、創業から6年を費やして10億回を達成したウーバー社を大幅に上回るほどの規模となった。
ソフトバンクグループも出資
2017年には、ソフトバンクグループも出資。また、米カリフォルニア州に研究開発ラボ「DIDI LABS」を開設し、配車事業に加えて人工知能(AI)や自動運転車の開発にも力を注いでいる。2018年1月には北京に「DIDI AI LABS」も開設している。
【参考】ソフトバンクグループのライドシェア戦略などについては「【速報】ライドシェア乗車数、1日3500万回 ソフトバンク傘下Uberなど4社|自動運転ラボ
2018年には、日本のタクシー事業者向けサービスにおいてソフトバンクとの協業を発表。タクシー事業者とドライバーの稼働率向上を目的にタクシー配車プラットフォームの構築を目指すため、同年中をめどに大阪府、京都府、福岡県、東京都などで実証実験をおこなうという。
また、トヨタ自動車や仏ルノー・日産自動車・三菱自動車の3社連合、世界の部品大手企業など31社参加のもと、ライドシェアやカーシェアリングの世界的な普及を目指す企業連合「洪流連盟(Dアライアンス)」の設立も発表した。
【参考】洪流連盟に関する詳しい情報は「ライドシェア中国大手の滴滴出行、カーシェア企業連合を結成 トヨタなど31社が参加|自動運転ラボ」を参照。
さらに、米カリフォルニア州での公道走行試験の許可も取得しており、自動運転分野への本格参入を印象付けている。
攻勢を続けるディディ社だが、ライバルのウーバー社も2019年をめどに新規株式公開(IPO)を目指す方針を明らかにしている。ウーバー社は非上場企業の中では世界最大であり、世界が注目する大型上場が続きそうだ。