経済産業省と国土交通省は2021年5月9日までに、自動走行ビジネス検討会の2020年度報告書として「自動走行の実現及び普及に向けた取組報告と方針Version5.0」を取りまとめたことを発表した。
報告書ではこれまでに行った実証実験の結果報告や、無人自動運転サービスの普及に向けて今後5年間で取り組む次期プロジェクトなどについて記載されている。この記事では報告書の概要を紹介する。
■2025年までに取り組む4つのプロジェクト
今後5年間で取り組む次期プロジェクトとしては、具体的に以下の4つを挙げ、技術開発や実証実験のほか、社会実装に向けた課題の解決に取り組みたいとしている。
- ①遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスの実現に向けた取組
- ②さらに、対象エリア、車両を拡大するとともに、事業性を向上するための取組
- ③高速道路における隊列走行を含む高性能トラックの実用化に向けた取組
- ④混在空間でレベル4を展開するためのインフラ協調や車車間・歩車間の連携などの取組
①〜④で目指す将来像としては、それぞれ以下とされている。
- ①2022年度目途に限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスを実現。
- ②2025年度までに多様なエリアで、多様な車両を用いたレベル4無人自動運転サービスを40カ所以上実現。
- ③2025年以降に高速道路でのレベル4自動運転トラックやそれを活用した隊列走行を実現
- ④2025年頃までに協調型システムにより、様々な地域の混在交通下において、レベル4自動運転サービスを展開。
詳しくは下記の表において検討課題やロードマップが示されているので、参考にしてほしい。
■協調領域10領域における取組状況と今後の取組方針
報告書の中では、「協調領域」の2020年度の取り組み状況や今後の取り組み方針なども示されている。
ここでいう協調領域とは、企業単独では開発などが難しいため企業間で協調が求められる分野のことで、「地図」「通信インフラ」「認識技術」など10領域が挙げられている。以下の表で2020年度の取り組み状況や今後の取り組み方針が示されている。
■協調領域の深化・拡大に向けて取り組む5つの課題
また協調領域の深化・拡大に向けては、5つの課題を中心に取り組むとしている。
- ①ODDの類型化
- ②遠隔監視等の人の関与のあり方
- ③レベル4サービスの関係者間の役割分担のあり方
- ④センサー・データ様式等の共通化/標準化
- ⑤インフラ連携の仕組み
■関係者はぜひ目を通しておこう
報告書ではそのほか、これまでの実証実験の結果報告、実験結果から得られた課題なども示されている。報告書の全文、概要、要旨はそれぞれ以下から閲覧できる。関係者はぜひ目を通しておいてほしい。
▼全文
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20210430_03.pdf
▼概要
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20210430_02.pdf
▼要旨
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20210430_01.pdf
【参考】関連記事としては「自動運転レベル4のサービス、2025年度に40カ所以上で 国がロードマップ最新版発表」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)