フランスの自動車部品大手ヴァレオと高精度3次元地図大手のダイナミックマップ基盤(DMP)は2021年3月1日までに、自動運転とADAS(先進運転支援システム)技術の開発加速に向け、パートナーシップを結んだ。
ADASと自動運転車の開発においては、車両が周辺環境を認識し、自車位置を正確に特定する技術が求められる。同時に、高精度3次元地図データの定期的な更新により、インフラや道路の環境変化に対応することも必須だ。
今回の提携では、こうした正確な自車位置推定と高精度3次元地図データの更新に関して、テクノロジーとビジネスモデルの両面で、共同で取り組みを行っていくという。
■自動運転領域で存在感が高い両社
ヴァレオとダイナミックマップ基盤はともに自動運転領域で存在感が高い企業だ。ヴァレオは自動運転システム向けのセンサーとシステムを開発しており、正確な自車位置推定に不可欠な技術を有している。
日本では、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」に加わり、東京臨海部で実施する自動運転の実証実験に参加していることでも知られる。
一方のダイナミックマップ基盤は、国内の高速道路・自動車専用道の地図データの整備を完了し、さらに北米の道路地図データ整備に取り掛かるため、同業である米Ushr社を買収するなどしている。
ダイナミックマップ基盤の高精度3次元地図データは、日産自動車の高度ADASシステム「プロパイロット2.0」で採用されている。トヨタとは効率的なマップデータの更新のための実証実験をスタートさせていることでも知られる。
■自動運転実現へ不可欠な技術の進化に注目
今回のパートナーシップは、ADASや自動運転の品質向上に必要な高精度な自車位置推定技術や地図更新技術について、非独占的に、グローバルに、共同でサービスを提供することが目的だという。
報道発表からは、今回のパートナーシップではどのような点でシナジーがあるのかまでは言及されてはいないが、高精度な自車位置推定技術や地図更新技術も自動運転の実現には不可欠であるだけに、今後の両社の動向に注目しておきたいところだ。
【参考】関連記事としては「大手自動車メーカー11社、自動運転関連の協業・提携状況まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)