トヨタ子会社として自動運転関連ソフトウェアの先行開発を行うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役:奥地弘章)=TRI-AD=の第3期決算(2020年3月31日現在)が官報に掲載された。
第2期は3億5958万円の純利益を出していたが、第3期は純利益が前期比354%増の約16億3160万円となり、大幅に利益を増加させた形となる。つまり純利益が1期で4.5倍超となった計算だ。
同社は2018年に設立以来、シリコンバレーでのイノベーションと日本でのものづくりをつなぐトヨタの自動運転技術の拠点として、研究から製品化に至る一気通貫でのソフトウェア開発に取り組んでいる。
社員採用も積極的に行って規模を拡大しており、2020年4月時点での社員数は約520名となっている。
■利益剰余金は19億7162万円に
第3期までの利益や損失の累計である利益剰余金は19億7162万円。当期純利益と利益剰余金を含む各数字は以下の通りとなっている。
▼資産の部(単位:千円)
流動資産 2,174,698
固定資産 12,898,058
資産合計 15,072,756
▼負債及び純資産の部(単位:千円)
流動負債 12,720,747
(うち引当金 1,050,516)
固定負債 330,387
(うち引当金 20,232)
株主資本 2,021,621
・資本金 50,000
・利益剰余金 1,971,621
・その他利益剰余金 1,971,621
(うち当期純利益 1,631,603)
負債・純資産合計 15,072,756
■高精度地図に関する実証実験など実施
TRI-ADでは自動運転用の高精度地図に関する実証実験を進めており、米マクサー・テクノロジーズ社やNTTデータとの実証実験などにおいて、今まで自動車専用道路に限られていた高精度地図生成を一般道でも行うにあたって、自動運転に必要な精度での地図生成が可能であるという結果を出している。
2020年4月からはダイナミックマップ基盤(DMP)社と連携して自動運転用の高精度地図の更新についても実証実験を始めており、今後の成果が期待されているところだ。
また、2019年7月に東京都中央区の大型複合施設「日本橋室町三井タワー」に移転した本社を同年12月より本格稼働させ、教育の場となる「Dojo(道場)」、健康的な食事を提供するダイニングスペース、心身ともにリフレッシュできるスペースなどシリコンバレー的な快適で先進的なオフィス環境を提供していることでも注目を集めている。
【参考】関連記事としては「トヨタの自動運転開発子会社TRI-AD、第2期は3.5億円の純利益計上」「応募の嵐を生む、トヨタ自動運転子会社TRI-ADのオフィス哲学」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)