テスラの自動運転ソフト、他社の利用を許容 「道義的に正しい」とマスク氏

事故防止での社会貢献を優先

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テスラのイーロン・マスクCEO=出典:Flickr / Ennoti (Public Domain Mark 1.0)

米EV(電気自動車)大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は、2021年10月7日に開催された株主総会で、将来的に自動運転の実現を目指す自社開発ソフトウェア「FSD」について、ほかの自動車メーカーにも提供していく考えを示した。

マスクCEOは株主総会の場で「自動運転技術は事故の防止に貢献する。そのため、もし他のメーカーがFSDの技術を使いたいのであれば、使用を許容するのは道義的に正しいことだと思う」と述べた。

■FSDを利用したい自動車メーカーは出てくる?

FSDというソフトウェア名は、「Full Self Driving」(完全自動運転)を略して名付けられた。現段階ではFSDの技術は運転支援レベルだが、OTAによる無線アップデートにより、将来的に自動運転が可能なソフトウェアに進化させることを目指している。

ではテスラがFSDの自動運転化に成功したら、実際にFSDを利用したいと申し出る自動車メーカーは出てくるのか。可能性はゼロではない。自動運転ソフトウェアの開発には多額の費用と時間がかかるため、企業によっては自社開発が難しいケースが当然出てくるからだ。

例えばアメリカの自動車メーカーで言えば、GMはCruiseを買収し、FordはArgo AIと協力し、それぞれ自社で自動運転ソフトウェアを開発しているが、ほかのメーカーからはあまりこうした話は聞こえてこない。

特に、自動車の販売台数が少ない高級車メーカーの場合、将来的に自動運転機能を搭載させるときは、外部から技術を調達することが現実的な選択肢と考えられる。こうしたときに、テスラのFSDのライセンスを購入して実装する可能性は十分にありそうだ。

■今後どのような展開になるか、注目

もしテスラがFSDを他の自動車メーカーに有償で提供するようになれば、テスラにとっては新たな収益源を獲得することになる。今後どのような展開になるのか、注目だ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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