三菱商事と三菱地所は2020年12月8日までに、岡山県玉野市が実施する国内初の「ルート最適化技術を利用した低速・小型自動配送ロボットの公道走行」の実証実験に参加することを明らかにした。
実証実験は、玉野市役所を中心としたエリアで実施される。実験エリア内にあるドラッグストアやクリーニング店などの小売店から医薬品や食品などをピックアップし、遠隔監視によって走行する自動配送ロボットによって周辺の住居や事業所などの複数の顧客に配送する計画だ。
配送には、「ルート最適化アルゴリズム」が使用され、任意に設定した5パターンの配送ミッションごとの注文情報をもとにルートを計算し、配送するという。
■非接触型配送ニーズの高まりなど背景に
この実証実験は、高齢化で深刻となっている同地域の交通手段維持などの課題解決に向けて行われる。また、新型コロナウイルス感染拡大によって生活必需品などの配送需要が急増し、非接触型配送ニーズが高まっていることも背景にあるという。
さらに、日本政府は2020年7月に閣議決定した「成長戦略実行計画」においても、遠隔監視・操作型であり無人で低速・小型の自動配送ロボットの社会実装の早期実現を目指しており、そうした方針も踏まえて行われるようだ。
実証実験には、三菱商事と三菱地所のほか、東京海上日動火災保険など計6社が参加する。三菱商事は実証実験の全体のコーディネートや統括を、三菱地所は施設内においてのロボット運用やノウハウを提供する。
東京海上日動火災は救急時の対応やトラブルの予防体制への助言を行うという。ルート最適化アルゴリズムは、名古屋大学発のAIスタートアップ企業であるオプティマインドが提供する。
実証実験は、近接監視・操作と遠隔監視・操作の2パターンで2020年12月4〜11日に行われる。
■ティアフォーが開発する「LogieeS1(ロージー・エスワン)」を活用
この実証実験では、自動運転OS「Autoware」を開発するティアフォーが公道での自動運転を実現するために開発した小型自動搬送ロボット「Logiee S1(ロージー・エスワン」が使用される。
LogieeS1は物を運ぶことに特化したロボットで、遠隔監視操作・操縦機能を搭載しているため、一定の条件を満たすことで公道走行が可能だという。
車両上部には物を運ぶためのモジュールを着脱することができ、左右のタイヤが独立して制御されることで小回りの効く動きも特徴だ。アイサンテクノロジーが開発する高精度3次元地図を搭載しており、屋内・屋外ともに走行可能である。
■【まとめ】ウィズコロナ時代にふさわしい取り組み
三菱商事はフィンランドのMaaS企業への資本参画や福岡でのオンデマンドバス実験への取り組みなど、また三菱地所は2018年9月に横浜ランドマークタワーで仏エフィデンス社の配送ロボットを活用した「警備・清掃・運搬ロボットを活用した実証実験」を行うなど、積極的にMaaS事業や自動運転事業に関わっている。
そして今回の配送ロボットのように自動運転技術を活用した実証実験は、ウィズコロナ時代にふさわしい取り組みといえ、両社の今後どう関わっていくのか注目していきたい。
【参考】関連記事としては「三菱商事のMaaS事業まとめ&解説 世界と日本で展開」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)