空飛ぶクルマ、必ず観ておきたいYouTube動画12選

国内勢も続々、陸空モデルやホバーバイク型も

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自動運転とともに注目度が徐々に高まってきている空飛ぶクルマ。こうした未来感あふれるモビリティに現実味を持たせる有力コンテンツが「動画」だ。

空飛ぶクルマも、実際の飛行映像やCGを駆使したコンセプトムービーなどが多数アップされており、現在の技術水準の把握や将来訪れる新たな空の交通社会をイメージするのに大いに役立つ。

前回の「自動運転」編に続き、今回は空飛ぶクルマやエアモビリティの開発を進める各社が公式でYouTubeにアップしている動画12作品を紹介しよう。

【参考】自動運転に関する動画については「自動運転、必ず観るべき各社の公式YouTube動画まとめ」も参照。

■SkyDrive:Future Movie / Members 2019(2019年9月19日/2分27秒)

有志団体「CARTIVATOR(カーティベーター)」から派生する形で設立されたSkyDriveは、2030年の空の交通社会を想定した動画をアップしている。

空飛ぶクルマが道路を走行する場面からスタートし、「この先渋滞中。飛行モードを推奨します」とアナウンスが流れると、飛行可能エリアへ。「東京のオフィスまで」とリクエストすると航路の候補が現れ、車体が上昇していく。

空中にはたくさんの空飛ぶクルマが浮遊しており、大きく視界が開けたディスプレイに表示されるさまざまなアナウンスを選択する様子や、近隣の空飛ぶクルマと手を振り合う様子などが描かれている。また、後半には、戦略マネージャーや技術責任者のコメントや実証の様子なども収められている。

同社はこのほか、大林組などと取り組む建設現場の重量物運搬実証実験の様子などもアップしている。2019年12月には有人飛行試験を開始しており、今後リアリティの高いさまざまな動画が続々とアップされそうだ。

【参考】SkyDriveの取り組みについては「ついに「空飛ぶクルマ」に人が乗った!SkyDriveが有人試験スタート」も参照。

■エアロネクスト:Flying Gondola / Next MOBILITY Flight test ver.2(2020年1月2日/59秒)

「空に産業革命を」をスローガンに空飛ぶクルマの開発に取り組むエアロネクストは、空飛ぶゴンドラ「Next MOBILITY」の飛行実験の様子をコンパクトにまとめた動画をアップしている。

人形を乗せた機体が離陸して空中を旋回し、着陸するまでの様子を収めたシンプルな内容だが、シンプルゆえに現在の開発状況が如実に伝わってくるリアリティのある動画だ。

Next MOBILITYは、観覧車のゴンドラが空に飛び立つような世界をイメージしており、エアモビリティの新たなコンセプトとして「空飛ぶゴンドラ」と銘打っている。すでに国内最大級の家電・IT見本市「CEATEC 2019」や世界最大級の家電技術見本市「CES 2020」などに出展しており、認知度の向上や技術力のアピールを進めているようだ。

【参考】エアロネクストの取り組みについては「「空飛ぶゴンドラ」でアメリカへ乗り込む!エアロネクストがCES 2020出展」も参照。

■NEC:今よりもっと自由に空を移動するために。NECの空飛ぶクルマの挑戦(2019年8月4日/2分59秒)

空の移動革命の実現に向け、交通整理や各種通信などを支える管理基盤の構築に本格着手したNECは、自由に空を移動することができる社会への夢と同社の取り組みなどをまとめた動画をアップしている。

冒頭では、空飛ぶクルマの実現によるビジョンを提示し、現在世界や日本で進められている取り組みを簡潔に紹介。その後、同社の取り組みの第一段階として、実際に試作機を開発し新設した実験場で浮上実験を行っている様子を交えながら、プロジェクトに対する同社の思いを語っている。

【参考】NECの取り組みについては「空飛ぶクルマ実現へ、試作機の浮上実験に成功 NECが発表」も参照。

■P.P.K.P.:PPKPが目指す自動運転システム(2018年12月24日/3分24秒)

垂直離陸が可能な自動運転パーソナルプレーンの開発を進める有志グループ「P.P.K.P.(パーソナルプレーン開発プロジェクト)」は、開発におけるキー技術を紹介する動画をアップしている。

安全な自動運転の実現に向け、特に重要となる技術として「3Dマップとナビゲーションシステム」「衝突防止システム」「航空管制との連携」「高精度着陸システム」「不具合時の遠隔操作」を挙げ、CGなどを交えながらわかりやすく解説している。

例えば衝突防止システムでは、他の飛行機と接近した場合は自動で信号をやり取りして衝突を回避し、信号のやり取りを行えない飛行機や鳥などに対してはセンサーで検知する仕組みなどを紹介している。また、不具合時の遠隔操作では、システムエラーや故障などの緊急事態が発生した際、高速通信の低遅延性を活用し、高精細画像をリアルタイムで確認しながら地上パイロットが遠隔操作で安全に着陸させるとしている。

【参考】P.P.K.P.の取り組みについては「「空飛ぶクルマ」の性能を飛躍的に向上させるプロペラが登場!」も参照。

■Bell Helicopter Textron:Bell Leads The Way for On-Demand Mobility(2019年3月7日/4分25秒)

ヘリコプター大手のBell Helicopter Textron(ベルヘリコプター)は、CES2019の映像などを交えながらeVTOL「Bell Nexus」を紹介する動画をアップしている。

賑やかな会場の様子やインタビュー、CGをところどころに盛り込みながら、エアモビリティの登場によって社会や生活がどのように変わっていくかを提案する内容だ。

後半では、同社イノベーション部門ヴァイス・プレジデントのスコット氏やUberエンジニアの説明や感想なども収められている。

同社はエアモビリティ分野における新規事業の創出を目的に住友商事と提携を交わすほか、2020年2月には日本航空も交え、アジアにおける空飛ぶクルマのサービス提供に向けた検討を開始している。

【参考】Bell Helicopterの取り組みについては「JALと住友商事、「空飛ぶクルマ」サービス提供へ米Bellと提携」も参照。

■Uber Technologies:Delivering Uber Eats with Drones | Uber Elevate |(2019年6月12日/3分22秒)

米配車サービス大手のUber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)もエアモビリティ事業「Uber AIR」に力を入れている。ウーバーからは、配送用ドローンを用いて食料品を運ぶ実証の様子を収めた動画をお勧めする。

解説者の映像を入り交えながら構成した動画で、会場で入念に準備を進める様子から、マクドナルドのハンバーガーなどをウーバーの箱に詰める様子、その箱を受け取ったスタッフがドローンに箱を取り付ける様子、ドローンが飛び立ち運搬する様子、到着して箱を受け取った男性が開封する様子などが収められている。

エアモビリティにおいては、人の移動より一足早くモノの移動が実用化される見込みで、同社はすでに試験運用に着手している。

なお、人を乗せる空飛ぶタクシー「Uber Elevate」のイメージ映像などもアップされているので、合わせて見てもらいたい。

■Ehang:Future is Now | Urban Air Mobility |(2020年1月15日/4分27秒)

1人乗りのマルチローター機「Ehang 184」を2016年に発表するなど、エアモビリティ業界をリードする一社に数えられる中国のEhang。中国や北米などで有人飛行実験を重ねており、広州では世界初の商用都市内観光UAMルートのインフラストラクチャの構築に取り組んでいるという。

紹介する動画では、同社のアーバンエアモビリティが空を飛び回る様子や、人が搭乗して飛行している様子がありありと収められている。

後半では、ビルの屋上に着陸したモビリティがそのままビル内に格納され、駐機場に自動で搬送されていく様子などがリアルなCG映像によって描かれている。

2019年12月に米ナスダックに上場を果たすなど商用化に向け着々と準備を進めているようで、空飛ぶクルマ界のウェイモとなるか、今後注目が高まりそうだ。

■Terrafugia:TF-2 : A 3 part transportation system(2018年10月19日/4分14秒)

米スタートアップで、中国の浙江吉利控股集団(ジーリーホールディンググループ)傘下のTerrafugiaは路上走行と飛行を両立する機体の開発を進めている一社だ。

紹介する動画(CG)では、一台の大型バン(バス)が人を拾いながら駐機場に到着。すると客室を積んだ一台のドローンが着陸し、客室を積んでいない別のバンに客室を受け渡す。その後、最初に登場したバンがドローンと連結し、客室部分を受け渡した後、ドローンは再度空へ――といったコンセプトが描かれている。

なお、ジーリーはスウェーデンのボルボ・カーズの親会社で、独Volocopter社にも投資するなどエアモビリティ分野への先行投資に力を入れているようだ。

■Kitty Hawk:Project Heaviside by Kitty Hawk(2019年10月4日/1分13秒)

米スタートアップのKitty Hawkは、最新のVTOL「Heaviside」のカリフォルニアでの飛行実験の様子を動画でアップしている。

Heavisideは一見すると軽飛行機のような外観だが、動画には垂直に離陸して空中を機敏に飛び回り、ゆっくりと着陸する様子が収められている。従来のヘリコプターと比べ約100倍の静音性も誇っており、都市や郊外での実用化を意識した設計になっているようだ。

■Lilium:Watch a complete Lilium Jet test flight(2019年12月18日/3分13秒)

独スタートアップのLiliumは、プロペラを備えず電気ジェットエンジンで垂直離陸を可能にするVTOLの開発を進めており、動画には2019年10月の飛行試験の様子が収められている。

音声のない映像だが、ゆっくりと上昇し、高さ10数メートルほどの上空を旋回する様子が収められているほか、映像の左側に「テイクオフ」や「レフトターン」「垂直着陸」など一連の動作を表す9つのメニューが表示されており、機体の動きと連動して強調表示されている。

一般的なドローンとは異なる電気ジェットエンジンを活用した独特の技術に期待だ。

■Italdesign:Pop.Up Next 2018(2018年3月6日/2分10秒)

航空機メーカーの仏エアバスや独アウディなどとともに空飛ぶクルマ「Pop.Up Next」の開発に取り組む自動車デザイン企業の伊イタルデザインは、Pop.Up Nextのコンセプトムービーをアップしている。

ジェット機に乗った二人の男性の前のディスプレイに表示された「POP UPモビリティサービスで旅を続けたいですか?」をタップすると、映像がエアモビリティの飛行に切り替わり、いつの間にか男性二人はその中へ。

自動運転車が走行する映像などを交えながらストーリーは進み、男性二人を乗せたエアモビリティは自動車のシャーシ部分のようなモビリティの上に着陸。男性二人が降り、客室部分をシャーシに置いたままエアモビリティが再び飛び立つと、シャーシと客室が合体したモビリティが自動運転車として走り出す――といった内容だ。

前述したTerrafugiaと同様のコンセプトで、自動運転可能なシャーシとドローンが互いに客室ユニットを共有するシステムで、陸路と空路の移動を両立させている。

■A.L.I.Technologies:Future Hero(2019年3月25日/54秒)

エアモビリティをはじめAIやクラウドサービス開発などを手掛ける国内ベンチャーのA.L.I.Technologiesは、ホバリングタイプのエアモビリティの開発を進めている。2019年3月にはオリジナルのホバーバイク「Speeder」の公開飛行試験を実施し、合わせてコンセプトムービーを公開している。

動画はCGで、水上を高速移動するSpeederが砂煙を挙げながら陸路も走行する内容となっている。Speederはドローン、ブロックチェーン、AIなどの要素技術を盛り込んだ革新的な機動性と安全性を両立させたモビリティとしており、2019年に限定モデルの予約受付を開始し、2020年後半に納車を開始するとしている。

また、ホバーバイクの特別デザインモデル「XTURISMO」を東京モーターショー2019に出展しており、空飛ぶクルマとは一味違う新たなモビリティの注目度が今後たかまる可能性がありそうだ。

■【まとめ】実証加速、未来のエアモビリティが現実のものへ

「空飛ぶクルマ」と言っても、ドローンの延長線上にある機体をはじめ、さまざまなタイプの開発が進められていることが動画を通して感じられる。共通するのはパーソナルな人やモノの空中移動を可能にする点で、「エアモビリティ」と称したほうがしっくりくるかもしれない。

いずれにしろ、自動運転同様2020年代には世界各地で実用化が始まるものと見られ、2020年も国内外で実証が盛んに行われる予定だ。商用化を見据えた実用実証も加速するものと思われる。

多くの人が直接目にする機会も増え、エアモビリティへのリアリティが高まる日もそう遠くはなさそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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