新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、政府の専門家会議は感染拡大を食い止めるために「人との接触を8割減らす」という目標を掲げた。こうした目標を達成するためには、自律走行(自動運転)ロボットの活用も有効だ。
既に東京都の軽症者受け入れ施設では、AI搭載の自律走行ロボットが活躍している。人がしていた仕事をロボットに任せることで、感染拡大の防止に効果があるわけだ。そしてこうした自律走行ロボットは労働力不足の日本において、感染防止以外の用途でも活躍が見込まれている。
では国はコロナを機に、自律走行ロボットの導入を支援する補助金制度や助成金制度を設けたらどうか。そうすれば民間企業でも導入が活発になり、感染防止対策としてだけではなく、労働力不足の解消によって日本経済にもプラスの効果が出るはずだ。
また、自動運転ロボットは地震や台風などの自然災害、火事や事故などが起きたとき、人が立ち入ることができない場所での活躍も期待される。
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■海外や国内で取り組みが進みつつある
新型コロナウイルスの感染拡大で、既に海外では多くの企業がこの自動運転技術を活用した取り組みを始めている。
中国のスタートアップ企業Pony.aiは自動運転車両を活用し、米カリフォルニア州で配送サービスをスタートさせた。乗用車サイズの配送ロボット開発を手掛ける米Nuroは、無人車両「R2」を患者の収容施設に配備した。医薬品の配送や食料など物資輸送で活躍させるためだ。
中国では新型コロナウイルス感染拡大に伴い、自動運転技術を搭載した配送ロボットの規制が緩和され、感染拡大期には実際に物資の配送で活躍した。インターネット出前サービス大手「美団点評」が自動運転車を使ったデリバリー事業に着手したことは大きな話題となった。
日本でも同様の取り組みが始まっている。
東京都は2020年4月末、軽症者などを受け入れる宿泊療養施設で、試験的にAI清掃ロボット「Whiz」を活用すると発表した。自動運転ベンチャーのZMPはコロナウイルス対策ロボット隊を立ち上げ、遠隔で消毒剤を散布できる無人警備ロボ「PATORO」などの活用を呼び掛けている。
【参考】関連記事としては「矢継ぎ早!ZMP、新型コロナ対策で「自動運転の台車」提案」も参照。
■補助金制度は経済発展や競争力強化にもつながる
このように、自動運転ロボットが有用であることは誰から見ても明白だ。ただし、懸念されるのは導入のための費用だ。企業や事業者が導入したくても、予算が不足していれば導入は難しい。そこで一つのアイデアとして提案したいのが補助金制度を創設するということだ。
中小企業・小規模事業者の業務効率化のための「IT導入補助金」のように、導入費用の「2分の1」や「3分の2」を国が負担することで、導入が盛んになるのではないか。こうした補助金の原資は税金だが、自律走行ロボットの導入は日本経済の強化や海外企業との競争力向上にも資する。
すぐに制度化するのが難しいとしても、中長期的にみれば十分検討に値すると感じる。
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【参考】関連記事としては「自動運転による「非接触配送」、コロナが気付かせた6大メリット コンタクトレス配送とは」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)