国は2020年度から、自動運転分野の「大学講座」を実施する目標を立てている。本格実施は2021年度以降となる見込みで、今年度は大学講座に対するニーズや課題を実施しながら検証していくという。
7月3日に開催された「未来投資会議」の配布資料「令和2年度革新的事業活動に関する実行計画案」から判明した。詳細については言及されていないが、自動運転の社会実装に向けた中長期目線での人材育成の取り組みであることは確かだ。
この実行計画案の中では自動運転分野のグローバル人材の確保に向け、「ASEAN(東南アジア諸国連合)等のジョブフェアへの出展や海外大学への寄付講座の設置等を支援する」とも言及されている。
▼令和2年度革新的事業活動に関する実行計画案(該当ページはP79)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai40/siryou1-2-2.pdf
■人手不足の状態が続く自動運転領域
自動運転領域では人手不足の状態が続いている。将来有望なマーケットであることから、自動車メーカーだけではなくIT企業などの参入も著しい一方、開発の担い手となるエンジニア人材などが足りていないのだ。
自動運転ラボの関連求人調査によれば、2019年末における関連求人案件数は1万8,295件で、前年比で71.6%増となっている。新型コロナウイルス問題で一時求人案件数は減ったが、2020年5月末時点で既に案件数は増加に転じている。
こうした中、国が自動運転分野の大学講座の実施を後押しすることは、担い手不足の緩和につながる。
自動運転はさまざまな要素技術の集結によって成り立つため、自分が研究する技術が自動運転でも役立つということに広く気づいてもらうためにも、ぜひ幅広い学科の学生などに受講を呼び掛けてほしいところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転関連求人数、コロナ禍による件数減が増加に転じる!2020年5月末調査」も参照。