2020年に経営破綻したレンタカー大手ハーツが、自動運転タクシーの「縁の下の力持ち」として再起を模索している。2026年4月30日、ハーツは子会社「Oro Mobility(オロ・モビリティ)」を設立し、Uberとの戦略的提携を発表。かつて「クルマを貸す会社」として知られた同社は、ロボタクシーの充電・整備・清掃・デポ管理を担うモビリティ・インフラ企業へと、そのビジネスモデルをアップデートしようとしている。
Oroが担うのは「運転」ではなく「維持・管理」だ。Uberのロボタクシーの充電・整備・清掃・デポ管理を一手に引き受け、2026年後半のSFベイエリアでの稼働開始を目指す。「誰もいない自動運転タクシーを動かし続ける」という、これまで存在しなかった役割に活路を見出しつつある。
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■ハーツ、自動運転タクシー向けインフラ会社に転身
2026年4月30日、ハーツは子会社「Oro Mobility(オロ・モビリティ)」を立ち上げ、自動運転タクシー向けのインフラ事業へと踏み出した。Oroが担うのは、Uberのロボタクシーに対する充電・整備・修理・清掃・デポ管理という運用インフラ全般だ。複数のモビリティ領域にわたるフリート管理を一手に引き受けることを目的としており、2026年後半のSFベイエリアでの稼働開始を目指している。
ハーツCEOのGil West氏は「ハーツは100年以上にわたって複雑なフリート運用ノウ承を積み上げてきた。Oro Mobilityの立ち上げはハーツの成長プラットフォームにおける重要なマイルストーンだ」と述べる。レンタカー事業を捨てるのではなく、自動運転インフラという新たな事業の柱を加えることで、収益基盤の多角化を図る戦略だ。
ハーツ/Uber共同プレスリリースには「産業が個人所有車両から商業運用フリートへ移行する中、Oroはオーケストレーションと運用の重大なギャップを埋めることを目指す」とある。100年の歴史を持つレンタカー会社のノウハウが、自動運転時代の「縁の下」を支えるインフラとして新たな活路を開こうとしている。
【参考】関連記事としては「自動運転、アメリカ(米国)の最新動向|開発企業は?」も参照。
■UberとLucidを含む4社で新たな連合を形成
今回の提携は4社の明確な役割分担で成り立っている。まずLucidがEV車両を提供する。2026年4月14日付のSEC提出書類(Form 8-K)によると、UberへのLucid車両供給は最大3万5,000台。内訳はGravity SUV 1万台と、2028年後半生産開始予定のMidsize platform車両 2万5,000台だ。
さらに注目したいのがUberとLucidの関係だ。UberはLucidの株式11.5%を保有する主要株主であり、単なる顧客ではない。PIF(サウジ公共投資基金)もUber株式の約72.84百万株(約53億ドル相当)とLucid株式の約60%を保有しており、この4社連合の財務的背景にPIFの存在がある。ただしLucidは2025年通期で約30億ドルの営業損失を計上しており、今回のUberとPIFからの追加投資はLucid経営支援の側面も持つ点は念頭に置く必要がある。
自律走行ソフトウェア(レベル4)を担当するのがNuroだ。2025年12月から安全ドライバー同乗での公道テストを開始し、2026年5月8日にはカリフォルニア州公共事業委員会(CPUC)のDriverless Pilot Permitを取得。有償乗客テストが可能になった。Uberはプラットフォームと顧客接点を担い、ハーツ/Oroがフリート管理・整備・充電インフラを担う。サービス開始は2026年後半、SFベイエリアで商業ローンチ予定だ。
【参考】関連記事としては「米Uber150億円超を投下、「自動運転の巨大連合」の確立へ」も参照。
■競争が始まったロボタクシー向け「裏側インフラ」市場
この市場に参入したのは、ハーツだけではない。競合のAvis Budget Groupはすでに2025年7月、テキサス州ダラスでWaymoのロボタクシー管理を開始している。ハーツはUber陣営、AvisはWaymo陣営と、米国レンタカー大手2社がそれぞれ異なる自動運転連合のフリート管理を担う。自動運転タクシーの裏側インフラを巡る競争は、静かにすでに始まっている。
■人間ドライバー向けにも同時展開
Oroが手がけるのはロボタクシーだけではない。人間ドライバーが乗務する一般フリート向けにも、充電・整備・清鎖といった車両管理サービスを提供している。アトランタでのパイロット運用を皮切りに、ロサンゼルスとサンフランシスコで稼働中。ニュージャージー州北部でも2026年春にスタートした。自動運転が完全普及するまでの過渡期において、ロボタクシーと有人車両の両方のフリートを支えられることが、Oroの安定した収益基盤の確保につながる。
■ハーツの再生ストーリー、破綻から「縁の下」の担い手へ
ハーツは2020年5月22日にChapter 11(連邦破産法第11条)を申請した。原因はコロナ禍による旅行需要の急落だ。2021年6月30日に再建を完了し、2024年4月にはGil West氏がCEOに就任した。
再建後はEV大量購入に踏み切ったが採算が取れず、2024年通期で29億ドルの損失を計上しながら車両を売却するという試行錯誤が続いた。そこにOroという新軸が加わり100年以上のフリート管理ノウハウを自動運転時代に転用する。「車を貸す会社」から「モビリティの運用を担う会社」へ、多角化の一手だ。Uberのロボタクシーへの総投資額は株式約25億ドルと車両向け約75億ドルを合わせた100億ドル超に達しており、そのインフラを担うOroのビジネス規模は今後拡大していく可能性がある。
【参考】関連記事としては「Googleのロボタクシー「労組が全力阻止」米国各地でデモ活発化」も参照。
■「見えない裏側」が自動運転の普及を支える
ロボタクシーの競争は「誰が運転するAIを作るか」だけではない。「誰が動かし続けるインフラを整えるか」でも起きている。ハーツとAvisの参入は、自動運転産業が「技術開発フェーズ」から「産業インフラフェーズ」に移行しつつある象徴だ。
日本の物流・整備・リース業界にとっても、自動運転タクシーの「縁の下の力持ち」というビジネスチャンスは他人事ではない。車両管理・充電インフラ・整備拠点という既存のノウハウが、自動運転時代に新たな価値を持ちうる。破綻から5年、ロボタクシー管理の担い手として再起しつつあるハーツの挑戦が、どんな成果をもたらすか。注目していきたい。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)