気鋭の自動運転企業T2、赤字倍増23億円!三井物産系ベンチャー

純損失は前期比209%増

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出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

自動運転技術を活用した次世代物流システムの構築を進める株式会社T2(本社:東京都千代田区/代表取締役CEO:熊部雅友)の第3期決算公告(2025年3月現在)が、官報に掲載されている。

当期純損失は前期比209%増の23億5,200万円であった。T2は2022年8月に三井物産により設立された。ドライバー不足が深刻な問題になっている現在の日本において、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの提供を行い、日本の物流の未来を支えることを目指した取り組みを行っている。(なお2025年8月1日付で代表取締役CEOの交代を行い、森本成城氏から熊部雅友氏となった)

同社のこれまでの純損益の推移は以下の通りとなっている。

<純損益の推移>
・第1期:▲9億3,805万6,000円
・第2期:▲11億2,418万4,000円
・第3期:▲23億5,200万1,000円
※▲はマイナス

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■決算概要(2025年3月31日現在)

賃借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 4,360,924
固定資産 123,223
有形固定資産 91,164
投資その他の資産 32,059
資産合計 4,484,147
▼負債及び純資産の部
流動負債 275,421
固定負債 47,841
負債合計 323,262
株主資本 4,160,884
資本金 100,000
資本剰余金 8,475,127
資本準備金 4,287,563
その他資本剰余金 4,187,563
利益剰余金 △4,414,242
繰越利益剰余金 △4,414,242
(うち当期純損失)(2,352,001)
純資産合計 4,160,884
負債・純資産合計 4,484,147

■Preferred Networksが技術提供

T2はAI開発企業のPreferred Networksの技術提供を受け、三井物産により設立された。自動運転技術を活用した幹線輸送サービス事業に挑戦し、日本の物流の未来を支えることを目指している。

具体的な事業内容は、「自動運転システムの開発及び同システムを搭載した車両による幹線輸送サービス事業」「幹線輸送に付随した関連サービス事業」「自動運転システムを活用したその他事業や関連サービス事業」などになる。

2022年11月に同社として初めて高速道路における乗用車の公道実証実験を実施、2023年4月には高速道路上での自動運転トラックの自律走行を成功させた。2024年7月にレベル4自動運転トラック幹線物流輸送実現に向けた公道実証を東京〜大阪間の高速道路一部区間で実施した。同社によると、開始時点でレベル4自動運転トラック幹線物流輸送を目指した貨物積載状態での公道実証として日本初の事例となったようだ。

また2025年6月には、自動運転トラックで国内最長となる神奈川〜神戸の約500キロ走破に成功している。同年7月からは、国内初となる自動運転トラックによる幹線輸送の商用運行を開始した。ドライバー同乗のもとレベル2自動運転トラックを用いて取り組み、2027年にはドライバーの乗車を必要としないレベル4自動運転による幹線輸送の実現を目指す。

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■多数の有力企業とタッグ

T2は資金調達も積極的に行っている。2023年には6月のプレシリーズAラウンドとして12.5億円、8月のシリーズAラウンドで35億円、10月にシリーズA追加ラウンドで7億円の資金調達実施、合計調達額は54.5億円となった。

2025年5月には三菱地所から追加出資を受けることで合意、これにより三菱地所からの出資は計15億円に達した。さらに2025年8月にプレシリーズBラウンドで50億円の資金調達を完了し、これまでの累計額が110億円を超えたことを報告している。

なおT2のパートナーとして、三菱地所のほか日本貨物鉄道、東京センチュリー、佐川急便、セイノーホールディングス、KDDI、NEXCO中日本、F-LINE、パナソニックグループ、大王製紙、横浜ゴム、日本通運、日本郵便、江崎グリコ、キューピー、日清食品など多数の大手企業が資本提携や実証実験に参加している。

■国内初の「建物内走行」も

T2は現在、物流施設における「建物内の走行」を実現させるため、国内で初めてとなる実証を2025年9月まで行っている。三菱地所グループの東京流通センター所有の物流施設を活用し、建物内走行で必要となる技術の有効性を確認するといった内容になる。

まだ設立3年ながら多数の大手企業を巻き込み、レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービス実現に向け急ピッチで取り組みを進めるT2。自動運転走行が実用化し、商用展開が進んでいけば、黒字化も見えてきそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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