ライドシェア大手の米Uber Technologiesが、新しい移動手段「Route Share(ルートシェア)」をこのほど導入した。混雑した主要道路の決まった場所に車が迎えに来て、他の乗客最大2名と相乗りするといったバスのようなサービスになる。利用料金は基本のライドシェアサービスである「Uber X」の最大50%オフになるという。
UberのCEO(最高経営責任者)であるダラ・コスロシャヒ氏は、「Uberはバスを再発明したのでは?」という米メディアの問いかけに対し、「Uberは優れた公共交通機関を補完する存在であるべきだ」と答えている。
Uberが公共交通機関に対抗するものではなく、共存関係でありたいといった同社の考えがよく分かるが、Route Shareは実質的にはバスと性質が似ており、バス事業に参入したと言っても言い過ぎではない状況だ。
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Route Shareは、平日の朝と夕方(午前6時〜10時、午後4〜8時)に、混雑するルート上で20分ごとに定期的に乗車可能だ。直通ルートを走るため、Uberの到着時間などの予測と快適さを両立しながら、料金は最大50%オフになるというお得なサービスになっている。
これを利用するためには、ユーザーはまずはUberアプリで乗車地と降車地を入力する。そうすると周辺のルートが表示され、20分ごとに乗車可能なルートを探すことができる。ルートは予測可能で、無駄な遠回りがないように設計されている。
乗車予約を行ったら指定の乗車場所へ移動し、車両を見つける。市内のよく使われる角や交差点といった、少し歩いた場所に停車しているようだ。
なおドライバーは最大2分間待機する。待たせることがないよう、少し早めに到着することが推奨されている。待機時間が2分を超えた場合、追加料金が発生する場合がある。
Route Shareは、ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ、フィラデルフィア、ダラス、ボストン、ボルチモアの7都市から提供をスタートし、今後さらに拡大を予定している。
■自動運転の取り組みにも積極的なUber
Uberは米国で基本のライドシェア「Uber X」のほか、ハイブリッド車やEV(電気自動車)の手配「Uber Green」、食品宅配「Uber Eats」、電動自転車・電動キックボードのレンタル「Uber Bike・Scooter」などさまざまなサービスを提供している企業だ。
最近では、自動運転開発各社とタッグを組み、自動運転タクシー(ロボタクシー)の配車プラットフォーマーとしての存在感を強めている。
米Google系の自動運転開発企業Waymoは独自サービス「Waymo One」を開発し、ロボタクシー配車を行ってきた。しかし最近はフェニックスやテキサス州オースティンでUberアプリを介しての配車を開始し、この夏にはジョージア州アトランタでもUberとのサービスをスタートする予定だ。
トヨタも出資する自動運転ベンチャーの米May Mobilityは、2025年末までにテキサス州アーリントンを皮切りにロボタクシーサービスを展開していくことを発表している。ロボタクシーの配車は、Uberのアプリを通して行われるという。
またUberは中国のWeRide(文遠知行)とも提携し、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでロボタクシーの配車サービスに参入することを発表済みだ。さらに2025年4月にはドイツの自動車メーカー大手フォルクスワーゲン(VW)とも組み、米国でロボタクシーサービスを提供していくことを明かしている。
■ロボタクシーのプラットフォームに
モビリティサービスにおいて多角的な事業展開を行っているUberだが、コスロシャヒCEOの「優れた公共交通機関を補完する存在であるべきだ」という発言からは、公共交通機関がカバーできないエリアや道路をUberがサポートしていくといった決意が感じられる。
Uberも、かつては自動運転開発部門「Advanced Technologies Group(ATG)」を設け、積極的に自動運転開発を進めていた。しかし思うように計画が進まず、2020年12月に米Aurora InnovationにATGを売却したという過去がある。
現在は自動運転業界からプラットフォーマーとして頼られ、公共交通機関ともライバル関係にはならないUber。今後も注目だ。
【参考】関連記事としては「トヨタ出資の米May、Uberで自動運転タクシーを配車へ Googleに続き」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)