アフターコロナにおける観光需要の回復やインバウンド増加により、タクシーをはじめとした移動手段の不足が大きな問題になっている。それに伴い、タクシードライバーの求人が急増中だ。タクシー業界では、好待遇・高年収などの条件でドライバーを大募集していることがほとんどだ。
なお2024年4月からは自家用車活用事業、通称「日本版ライドシェア」も始動し、ライドシェアドライバーの求人も増えてきている。
タクシードライバーになるには、どういった条件があるのだろうか。資格や年齢制限などについて詳しく説明する。いま注目の職種であるタクシードライバーにはどんな人が適しているのだろうか?就職先の選択肢の1つとして、タクシードライバーも候補に入れてみてはいかがだろうか。
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記事の目次
■タクシードライバーに資格は必要?
タクシードライバーとして働くためには「普通自動車第二種運転免許」が必要になる。二種免許をまだ取得していない場合、タクシー事業者が資格取得費用を負担していることもある。
二種免許とは?
第二種運転免許(二種免許)は、タクシーやバスなどの営業用旅客自動車を運転するための免許だ。一種免許との違いは、「お客を乗せて走ることができるかどうか」という点になる。
二種免許には大型・中型・普通・大型特殊・牽引の5種類があり、タクシードライバーとして稼働するためには普通二種免許を取得する必要がある。なお中型二種免許や大型二種免許を所有していれば、普通二種免許も兼ねることできる。
二種免許の取得方法は?
特別な教習を修了すると、19歳以上であり、普通免許等を受けていた期間が通算して1年以上あれば、二種免許の運転免許試験を受けることができる。また視力、聴力、深視力などが条件を満たしていることも条件となる。
かつては年齢21歳以上、普通免許等保有3年以上という条件であったが、2022年5月に施行された改正道路交通法により受験資格が緩和された。
普通二種免許の取得は一種免許と同様、学科試験と技能試験(実技試験)の2つを受ける必要がある。二種免許は一種免許と違い、お金を取ってお客を乗せて運転することになる。そのため一種免許より高度なレベルの知識や運転技術が求められる。
そのため二種免許の学科試験は一種免許よりも応用問題が多く、出題範囲に「旅客輸送に関する問題」も加わっている。マークシート方式で文章問題90問とイラスト問題5問、100点満点中90点以上が合格となる。
技能試験では指定の自動車教習所で場内試験と路上試験を行い、両方での合格が必要だ。試験官を助手席に乗せて運転し、運転技術や判断力を評価される。100点満点の減点方式を採用しており、試験終了時に70点以上残っていると合格になる。
なお教習所に通わずに運転免許試験場で学科試験と技能試験を受験し、二次免許を取得する「一発試験」という方法もあるが、教習所に通うのが一般的だ。
地理試験とは?
かつては特定の地域で地理試験も受ける必要があったが、2024年2月に廃止されている。タクシードライバー不足が深刻化しており、地理試験が人材確保の障壁となっていることが背景にある。ただし地理試験を廃止したことにより、タクシードライバーの地理的知識不足も懸念されている。
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■個人タクシーと法人タクシーの違い
タクシードライバーとして働く方法としては、個人でタクシー事業を行う「個人タクシー」と、タクシー事業者に雇用される「法人タクシー」の2つがある。それぞれについて説明する。
個人タクシー
個人タクシーは自分の都合で働くことができ、売上の全てが自分の稼ぎになるため、働き方によっては大幅な収入アップを望めることがメリットだ。その反面、病気などで稼働できなくなったら収入がゼロになることや、車両や経費の管理などを全て自分で行う必要があるといったデメリットもある。
個人タクシーとして開業するには、新規で許可を取得する方法と、すでに個人タクシーの許可を受けている事業者から事業の譲渡を受ける方法の2つがある。
個人タクシー許可を受けるために必要となる主な資格については、一般社団法人「全国個人タクシー協会」によると、「申請日現在の年齢が65歳未満であること」「有効な第二種運転免許(普通免許又は大型免許に限る)を有していること」のほか、年齢に応じた運転経歴が細かく設定されている。そのほか法令遵守状況や資金計画、営業所、事業用自動車、自動車車庫、健康状態及び運転に関する適性、法令及び地理に関する知識なども要件となっている。
法人タクシー
タクシー会社に所属する法人タクシーとして働く際は、二種免許取得について金銭的にも会社にサポートしてもらえる場合が多い。車両の管理なども不要で、出勤して稼働するという一般的な会社員と同じような働き方になる。しかしシフトが決まっていたり、歩合制で個人の取り分が決まっていたりなどのデメリットが挙げられる。
雇用条件は各社で異なるため、採用サイトなどでチェックしてみよう。個人タクシーのドライバーになるには、まずは法人タクシーのドライバー経験が必要になる。そのため法人タクシーで経験を積み知識や技術を磨くことが大切だ。
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■タクシードライバーに必要なスキルとは?
運転技術はもちろんのこと、地理の知識や接客スキルが必要とされる。安心・安全な運転で無駄な経路を通ることなく目的地に到着することが第一条件だ。また観光客などを乗せた場合は、おすすめの飲食店や観光スポットを聞かれる場合もある。道路の知識だけでなく、その土地についてもアンテナを張って情報収集していくことで、ユーザーの満足度も上がっていくだろう。
特に最近では、タクシーアプリを利用しての乗車が増えている。利用後にドライバーについて評価をするアプリもあるので、接客的な要素がより重要視されるようになってきた。過度にサービスする必要はないが、お客が心地よいと感じるような接客を心がけよう。
■タクシードライバーに年齢制限はある?
二種免許自体は、特別な教習を修了することで19歳以上かつ普通自動車一種免許の取得後期間が通算1年以上という条件で取得可能だ。タクシー事業者がドライバーを募集する際は「年齢、性別、経験不問」とすることも多い。アルバイトでの雇用の場合は、学生でも可としていることもある。
年齢の上限もなく、「シニアドライバー歓迎」と募集要項に記載があるタクシー事業者も多い。ただし65歳の定年制などを設けている会社もある。定年後も、再雇用で働き続ける人も多くいるようだ。
■タクシードライバーの視力の基準は?
タクシードライバーになるには、二種免許の取得が必須だ。そして二種免許の取得には「両目で0.8以上、片目で0.5以上」の視力があることが条件になる。眼鏡やコンタクトレンズの着用しての視力検査も可能だ。
■【まとめ】タクシー業界は未経験者大歓迎!
現在、各タクシー会社でタクシードライバーを大募集している。法人タクシーとして働く場合でも、自分のペースで出勤できるような求人もある。給与や時給も、平均より高い傾向にある。特に観光地や夜間の稼働の際は、時給などが大幅にアップしているようだ。
タクシー車内は乗客との会話など接客要素はあるものの、待機中は1人で過ごすことができるのもドライバーにとって人気の秘訣だという。シフトの融通がききやすいことから副業として働く人も多く、女性のタクシードライバーも増えてきている。
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