トヨタウーブン、4期目も「債務超過」!売上6倍、損失は大幅圧縮なのに・・・

先進技術開発を担当、Woven Cityも主導



出典:官報

トヨタグループで最先端の研究開発を行うウーブン・バイ・トヨタ株式会社(本社:東京都中央区/代表取締役:隈部肇)の第4期(2023年4月〜2024年3月)決算公告が、官報に掲載されている。

売上高は前期比498%増の1,440億9,600万円、当期純損失は前期比81.4%減の196億6,300万円であった。売り上げは伸び、純損失は圧縮されたという結果となった。ただし前期に引き続き債務超過になっており、その額は258億3,200万円であった。


同社の前身は「TRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)」で、2021年1月に新体制「ウーブン・プラネット・ホールディングス」に移行した。さらに2023年4月には社名を「ウーブン・バイ・トヨタ」に変更している。

なお、これまでの売上高と純損益の推移は、以下の通りとなっている。

<売上高の推移>
・第1期:34億2,001万7,000円(ウーブン・プラネット・ホールディングス)
・第2期:227億9,100万円(ウーブン・プラネット・ホールディングス)
・第3期:240億5,700万円(ウーブン・バイ・トヨタ)
・第4期:1,440億9,600万円(ウーブン・バイ・トヨタ)

<純損益の推移>
・第1期:▲6億7,878万5,000円(ウーブン・プラネット・ホールディングス)
・第2期:29億3,300万円(ウーブン・プラネット・ホールディングス)
・第3期:▲1,062億1,300万円(ウーブン・バイ・トヨタ)
・第4期:▲196億6,300万円(ウーブン・バイ・トヨタ)
※▲はマイナス


■第4期決算概要(2024年3月31日現在)

貸借対照表の要旨(単位:百万円)

▼資産の部
流動資産 11,673
固定資産 100,609
資産合計 112,282
▼負債及び純資産の部
流動負債 134,440
(うち賞与引当金)(7,072)
固定負債 3,674
株主資本 △25,746
資本金 55
資本剰余金 5
資本準備金 5
利益剰余金 △25,807
その他利益剰余金 △25,807
評価・換算差額等 △85
繰延ヘッジ損益 △85
負債・純資産合計 112,282

損益計算書の要旨(単位:百万円)

売上高 144,096
売上原価 112,221
売上総利益 31,875
販売費及び一般管理費 29,935
営業利益 1,940
営業外収益 1,034
営業外費用 5,594
経常損失 2,620
特別損失 16,854
税引前当期純損失 19,474
法人税等 245
法人税等調整額 △56
当期純損失 19,663

■債務超過は258億3,200万円

出典:ウーブン・バイ・トヨタ公式サイト

ウーブン・バイ・トヨタの第4期決算は、前期に引き続き債務超過の状態にある。債務超過とは、貸借対照表の「資産の部」の合計額から、「負債の部」の合計額を引いた金額がマイナスとなる状態のことを指す。

第4期は、資産の部が流動資産116億7,300万円、固定資産1,006億900万円で計1,122億8,200万円、負債の部が流動負債1,344億4,000万円、固定負債36億7,400万円の計1,381億1,400万円となっている。


資産の部の1,122億8,200万円から負債の部の1,381億1,400万円を差し引くと、258億3,200万円の債務超過になっていることが分かる。

■Woven City、第1期の建物がもうすぐ完成?

出典:Woven City公式Facebookページ(https://www.facebook.com/WovenCity.JP/)

ウーブン・バイ・トヨタは、トヨタのモビリティカンパニーへの変革を加速するために、クルマの価値の拡張やモビリティの新領域への拡張、モビリティと社会システムとの融合に焦点を当てた開発を進めている。

具体的には、車両ソフトウェアOS・プラットフォーム「Arene」や、自動運転・先進運転支援システム技術、静岡県に建設中の実証都市「Woven City」に関しての技術開発を行っている。

Woven Cityは、もうすぐ第1期の建物が完成予定で、2025年の実証実験の一部開始に向けて準備を進めている段階にあるようだ。リアルな人の生活の中で実証を行うことができる場所として、自動運転や先進技術などのテストを行っていく。この街にはトヨタやトヨタ関係者から段階的に入居し、最終的には約360人が居住する計画だ。将来的には、約2,000人が住むことを目指しているようだ。

ウーブン・バイ・トヨタの決算には、Woven Cityをはじめとする大規模開発の先行投資という面が如実に反映されているのだと考えられる。同社から今後どんなニュースが発信されるのか、次回の決算発表はどうか。トヨタのニュースには日本中が注目している。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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