トヨタ系KINTOテク、第3期決算は純利益33%減!my routeや決済サービスも開発

第2期の7.8億円から5.2億円に減少



出典:官報

トヨタグループでモビリティサービスを支える技術の開発などを担うKINTOテクノロジーズ株式会社(本社:愛知県名古屋/代表取締役社長:小寺信也)の第3期(2023年4月〜2024年3月)決算公告が、官報に掲載されている。

当期純利益は、前期比33.4%減の5億2,555万円であった。これまでの純損益の推移は、以下の通りとなっている。


<純損益の推移>
・第1期:4億6,975万円
・第2期:7億8,935万5,000円
・第3期:5億2,555万4,000円

■決算概要(2024年3月31日現在)

貸借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 1,352,114
固定資産 776,021
資産合計 2,128,135
▼負債及び純資産の部
流動負債 1,525,536
役員賞与引当金 6,422
賞与引当金 470,389
固定負債 56,938
役員退職慰労引当金 3,468
退職給付引当金 53,469
株主資本 545,660
資本金 10,000
利益剰余金 535,660
繰越利益剰余金 535,660
(うち当期純利益)(525,554)
負債・純資産合計 2,128,135

■トヨタの戦略子会社として2021年に設立

出典:KINTOテクノロジーズ公式サイト

KINTOテクノロジーズは、トヨタ自動車の戦略子会社として2021年4月に設立された。トヨタグループのモビリティサービスの世界展開を実現する技術集団として、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。公式サイトでは「トヨタグループ内でも唯一のBtoC・DtoC領域に特化した内製開発組織」と説明されている。

事業内容は、デジタル分野における情報システムの設計、開発、運用管理および販売等の情報処理サービス、企業経営戦略、マーケティング戦略の企画、立案およびコンサルティングに関する業務となっている。


同社のプロダクトとしては、新車のサブスク「KINTO ONE」、KINTO ONEの返却車両を活用したリーズナブルなサブスク「KINTO ONE中古車」のほか、「進化」と「見守り」でクルマの価値を維持するリーズナブルな新サブスクリプションサービス「KINTO Unlimited」、愛車にメーカーオプションを後付けできるアップグレードサービス「KINTO factory」などがある。

また、トヨタのMaaSアプリ「my route」やキャッシュレス決済アプリ「TOYOTA wallet」も手掛けている。

■クルマの諸費用がコミコミ定額のKINTO ONE

KINTOテクノロジーズが開発するKINTO ONEは、クルマにまつわる費用が込みで月々定額で、トヨタ・レクサス・SUBARUの新車を利用することができるサービスとなっている。運営しているのは、グループ会社の株式会社KINTOだ。

KINTO ONEのラインアップとして、2024年8月からプラグインハイブリッド車(PHEV)を新しく追加した。車種は「クラウン(スポーツ)」「プリウス」「ハリアー」だ。なお、これまではガソリン車のほか、ハイブリッド車(HEV)およびバッテリーEV(BEV)の取り扱いがあった。


またKINTO ONEとは別に、8月からは福祉車両サブスク「KINTO care」もスタートした。まずは石川県で石川トヨペットカローラとともに個人のユーザーを対象として開始する。1カ月単位で利用可能で、申込金や中途解約金は不要だという。月額利用料は11万8,000円。

車いす仕様車(スロープタイプ)のシエンタからスタートし、今後は利用者の声を聞きながらリフトアップシートといった福祉車両のバリエーションや車種の拡大を予定しているという。将来的には全国展開していく計画だ。

■4期決算に期待、利用者増が追い風に?

KINTOテクノロジーズには、KINTOの事業ではなく、トヨタが建設中の実証都市「Woven City」に携わるメンバーもいるようだ。

トヨタグループのモビリティサービスの世界展開を実現する技術集団として、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる同社。3期で純利益が減少した理由については、設備投資や研究開発費などの先行投資に資金が充てられた可能性も考えられそうだ。

現在、クルマのサブスクやMaaSのサービスが本格化し、利用者が増加している状況にある。KINTOテクノロジーズの次回の決算発表に注目したい。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「トヨタ系KINTOテクノロジーズ、純利益68%増 第2期決算」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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