トヨタ系KINTOテクノロジーズ、純利益68%増 第2期決算

KINTO ONEやmy routeを手掛ける技術集団



出典:官報(※クリックorタップすると拡大できます)

トヨタグループでモビリティサービスを支える技術の開発などを担うKINTOテクノロジーズ株式会社(本社:愛知県名古屋/代表取締役社長:小寺信也)の第2期決算公告が、このほど官報に掲載された。

設立間もない企業であるが、当期純利益は前期比68%増の7億8,935万円と大幅増になった。


■決算概要(2023年3月31日現在)
貸借対照表の要旨(単位:千円)

▼資産の部
流動資産 1,789,563
固定資産 569,101
資産合計 2,358,664
▼負債及び純資産の部
流動負債 1,530,390
役員賞与引当金 3,567
賞与引当金 410,892
固定負債 19,167
役員退職慰労引当金 1,873
退職給付引当金 17,294
株主資本 809,106
資本金 10,000
利益剰余金 799,106
繰越利益剰余金 799,106
(うち当期純利益)(789,355)
負債・純資産合計 2,358,664

■クルマのサブスクサービスなどを下支え

2021年4月設立のKINTOテクノロジーズは、トヨタグループのモビリティサービスの世界展開を実現する技術集団として、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

同社が手掛けるサービスの1つに、新車を定額で利用できるサブスクリプションサービス「KINTO ONE」がある。定額料金の中に車両代金や税金、保険、車検、メンテナンスなどマイカーにかかる費用が含まれており、気軽にトヨタの人気車種の新車に乗ることができる。

さらに、東京と愛知限定の中古車サブスクサービス「KINTO ONE 中古車」は、KINTO ONEで契約期間満了または中途解約などによって返却された車(リースアップ車)を中心に正規販売店でメンテナンスされた厳選車両を、定額サービスで利用できる。


そのほか、カーオーナー向けクルマのカスタム・機能向上サービス「KINTO FACTORY」では、トヨタ・レクサス既販車のソフトウェアとハードウェアの機能やアイテムを最新の状態にアップグレートさせることができる。購入時には設定が無かったオプションの後付けや、経年劣化した内外装の交換などを正規品質で提供可能となっている。

出典:KINTOテクノロジーズ公式サイト
■外出を提案するAIアプリやmy routeの開発も

KINTOとKINTOテクノロジーズは、AI(人工知能)が日本国内にあるおすすめのスポットを一人一人に合わせて提案する独自アプリ「Prism Japan」を2022年8月から公開している。

出かける先を探しているユーザーに対し、アプリ内で画像を表示し、その中で好みの画像を直感的に選んでもらうことで、AIが好みや興味関心を即座に分析し、外出先のスポットを提案するというサービスだ。

どこに出かけるか、どんなことをしたいかをイメージできない人にとって、AIが提案する「0次検索」は、具体的なスポットを調べる前の段階として役に立つだろう。


また、トヨタ系のMaaSアプリ「my route(マイルート)」を手掛けているのもKINTOテクノロジーズだ。公共交通や自動車、自転車、徒歩などのさまざまな移動手段を組み合わせてルートを検索し、必要に応じて予約・決済までを行うことができるスマホ向けサービスとなっている。

なおmy routeはトヨタの未来プロジェクト室から生まれたプロジェクトが最初で、事業化の際にトヨタファイナンシャルサービス(TFS)へと事業移管されたサービスだという。KINTOテクノロジーズはTFSの100%子会社であり、my routeの開発をサポートする役割で、TFSと共同でこの事業に取り組んでいるようだ。

■陰の立役者「KINTOテクノロジーズ」

KINTOテクノロジーズが携わる領域は幅広く、トヨタのキャッシュレス決済アプリ「TOYOTA Wallet」のアプリケーション開発やテスト自動化環境構築の支援も行っている。今後も同社はトヨタグループのさまざまなサービスを下支えしていくことになりそうだ。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

【参考】関連記事としては「トヨタ系KINTOテクノロジーズ、第1期から黒字4.6億円!」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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