アメリカの自動運転開発をリードしている企業は、文句なくGoogleだ。傘下のWaymo(ウェイモ)は完全無人の自動運転タクシーを有料展開し、Uberとの取り組みもスタートしている。
こうした状況の中、2014年から秘密裏に自動運転車の開発を進めていると噂されているAppleのプロジェクトは、ほぼ世間に忘れ去られつつある。進捗が全く明らかになっていない上、2023年5月には自動運転車のテスト要員も大幅に減らし、いかにも停滞ムードといったところだ。
しかし、最近は少しずつテスト要員を増やしているようだ。果たしてプロジェクト加速の予兆なのか。
■テスト要員の大幅解雇後、徐々に人数が増加
カリフォルニア州の道路管理局(DMV)によれば、2024年1月5日時点で登録されているAppleの自動運転車のテスト要員は162人で、登録車両数は68台となっている。
Appleのこのテスト要員は2023年3月には200人を超えていたが、5月に大量解雇によって145人まで減った。テスト要員を減らしたのは2年ぶりだったこともあり、Appleが自動運転車の開発事業を縮小するのでないか──といった見方が増えた。
しかしその後、徐々にテスト要員の登録を増やしている。2023年7月にはテスト要員は152人となり、そして2024年1月5日時点ではさらに10人増えて162人となった。登録車両数も66台から68台へと2台増えている。
【参考】関連記事としては「Apple、自動運転開発でレイオフ!テスト運転手を約25%削減」も参照。
■発売は2026年濃厚?当初は自動運転機能なし?
まだ見ぬAppleの自動運転車を米メディアなどは「Apple Car」と呼び、いつ発売されるのか、価格はいくらになるのか、などについての予測がときどき報じられる。
Apple専門ニュースメディア「9to5mac」によれば、「早ければ2024年」「2026〜2028年になりそう」といった報道がこれまでにあり、最近では「2026年が濃厚」といった見方が多いらしい。
搭載される機能に関しては、「当初は自動運転機能は搭載しない」という予測も出てきている。車両としてのローンチを優先するため、難易度が高い自動運転機能は発売時には実装しないのでは、といった見方だ。ハンドルやペダル類も無くならない可能性が高いという。
■2024年、進捗の公式発表はあるのか?
いずれにしても、Appleの自動運転車の開発の進捗や今後の計画に関しては、どんな情報も憶測の域を出ない。ただ、カリフォルニア州のDMVに登録されているテスト要員の数や車両数に変化があるということは、少なくともプロジェクトは続いているということだ。
ただ、自動運転車を開発する企業はすでにかなりの数になり、レベル3搭載の市販車をホンダやメルセデスが展開し始めているため、時間が経つについて自動運転車のローンチで得られる話題性は徐々に小さくなっていく。
2024年、Appleは自動運転プロジェクトに関する情報を公式にリリースすることはあるのか。注目だ。
【参考】関連記事としては「Apple Car暫定情報 自動運転技術に注目」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)