Google系の自動運転開発企業である米Waymo(ウェイモ)が、GM傘下のCruiseが苦境に陥っているこのタイミングで、事業強化を図っているようだ。
Waymoは、アリゾナ州フェニックス市内にある国際空港「Phoenix Sky Harbor International Airport」の乗降場にて、夜間に自動運転タクシーサービスの展開をスタートさせている。空港利用者は空港とフェニックス市街との行き来で、無人タクシーを利用できるようになった。
Cruiseは、自動運転タクシーが女性を下敷きにして引きずった事件などがきっかけとなり、無人タクシーの展開などを全面的に停止している。自動運転タクシーでCruiseの競合であるWaymoにとっては、事業拡大のまたとないチャンスと言えそうだ。
■数カ月以内に24時間運行へ
現在は午後10時から午前6時までという夜から早朝にかけての運行となるが、Waymoによれば、数カ月以内に24時間運行させる計画だという。現在は、ターミナル3とターミナル4のカーブサイド(乗降場)で利用することができる。
自動運転タクシーの車内には安全要員(セーフティドライバー)を配置せずに運行しており、自動運転レベルの水準では、上から2番目の「レベル4」となる。レベル4は、「特定エリア内における完全自動運転」という水準となる。
■実質的にWaymo一強状態
Waymoはアメリカかつ世界で初めて自動運転タクシーを商用展開した企業だ。2018年12月のことで、当初は全ての車両に安全要員を乗せていたが、徐々に完全無人化を進め、レベル4の水準で自動運転タクシーを展開するに至った。
Cruiseがアメリカでサービスを全面停止していることで、広域で自動運転タクシーを展開している企業は、実質的にWaymoのみとなっている(※エリアを狭く限定して展開している企業は他にも存在する)。
ただし、Cruiseがさまざまなトラブルを起こしたように、Waymoでも同様の事故や騒動が今後頻発する可能性はある。そのため、事業拡大とともに、丁寧な技術のレベルアップも求められ続けることは言うまでもない。
【参考】関連記事としては「Waymoの自動運転戦略(2023年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)