ドイツの自動車大手BMWは2023年11月24日までに、自動運転レベル3(条件付き運転自動化)機能を搭載した車種を2024年3月からリリースすることを発表した。同社の新型「7シリーズ」にオプションとして搭載され、まずはドイツ国内限定で提供される。
これまで自動運転レベル3機能の市販車への搭載を実現した自動車メーカーは、世界初がホンダ、2番手が独ダイムラーの高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」で、ほかの自動車メーカーはまだ実現できていない。
BMWが計画通り来年3月から自動運転レベル3機能搭載車をリリースすれば、3番手となることが濃厚だ。
■暗闇でも運転を完全に代行
BMWの新型7シリーズに搭載される自動運転レベル3の機能は「BMW Personal Pilot L3」という名称で、自動車技術会(SAE)が定義する自動運転レベル3の機能を備えている。特定の条件下においてハンズフリーで走行し、車の速度や先行車との距離、車線の位置などをドライバーの代わりに制御することができる。
高速道路を最高時速60キロで走行する際、ドライバーは他の動作をすることができる。たとえばスマートフォンを操作したり電話したり、といったことが可能になる。車内では中央ディスプレイで動画をストリーミング再生し、映画などを観ることもできるようだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。
さらに、高度なセンサーを搭載していることから、暗闇でも車両は運転を完全に代行することができる。暗闇でも作動する自動運転レベル3機能は、BMWによると他社に先駆けて初のことだという。
この新機能は、ドイツ国内限定でオプションとして2023年12月から注文でき、来年3月以降の新型「BMW7シリーズ」に搭載される。料金は税込み6,000ユーロ(約97万円)のようだ。なお「i7 eDrive50」と「i7 M70 xDrive」は搭載対象外になっている。
■レベル2は実用化済み、レベル3との違いは?
BMWはすでに、「BMWハイウェイ・アシスタント」で新型「BMW 5シリーズ」全モデルにレベル2の部分自動運転機能の提供を行っている。
最高時速130キロで走行する場合、ステアリング・アンド・レーン・コントロール・アシスタントの追加機能により、車速や前方車両との距離、ステアリングを制御することができる。また、視線確認機能付きアクティブ・レーン・チェンジ・アシスタントなどの機能も含まれている。
BMWによると、レベル2とレベル3の決定的な違いは、レベル2の場合はドライバーにまだ運転に関する負担が生じる点だという。レベル2のBMWハイウェイ・アシスタントが稼働している際、ドライバーは道路上で何が起きているかを常に注視し、いつでも運転作業を引き継ぐことができなければいけない。
【参考】関連記事としては「自動運転、レベル2とレベル3の違いは?(2023年最新版)」も参照。
■自動運転開発に近年特に注力
満を持して自動運転レベル3機能を実用化するBMWは、ホンダとメルセデス・ベンツに続くことになる。
2018年4月にミュンヘン近郊に自動運転キャンパスをオープンし、技術開発を行ってきたBMWグループ。また2023年7月には、ドイツ国境に近いチェコのソコロフに、自動運転技術のテストが可能な新施設「フィーチャ・モビリティ開発センター」(FMDC)を開設している。
自動運転開発に近年特に注力しているBMWの今後の展開に関心が集まる。
【参考】関連記事としては「BMW、自動運転テスト施設に470億円投資!チェコ・ソコロフで完成」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)