米インテル傘下で自動運転技術の開発を行うイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)は2023年10月30日までに、2023年第3四半期(2023年7〜9月)の決算を発表した。
第3四半期の売上高は、前年同期から18%増の5億3,000万ドル(約793億円)であった。営業利益も前年同期より大幅にアップするという好成績であった。
■営業利益25%増、受注高は過去最高へ
営業利益は、前年同期の2億1,700万ドルから25%増の2億7,200万ドル(約408億円)と大幅にアップした。調整後の純利益は、前年同期比59%増の1億8,100万ドル(約271億円)となった。
またMobileyeの2023年の受注高は、台数や売上高、平均システム価格ベースで2022年の受注高を上回る記録的なペースだという。
2023年9月までの9カ月間の営業活動により創出されたネットキャッシュは、2億8,500万ドル(約427億円)であった。同社によると、バランスシートは引き続き良好で、2023年9月30日現在の現金および現金同等物は12億ドル(約1,796億円)あり、負債はゼロだという。
Mobileyeは売上高が好調な理由として、主力製品であるシステムオンチップ(SoC)「EyeQ」の需要増を挙げている。同社は米フォードや独BMWをはじめとする大手自動車メーカーを顧客に持っているが、販売数が増加しただけでなく、製品1つあたりの単価も上がっているという。
■Mobileyeの主力製品「EyeQ」とは
Mobileyeは2004年に同社初のシステムオンチップを発表した。これが、現在につながるデバイス「EyeQ」シリーズの第1世代となる。2022年には最新の「EyeQ6H」を発表した。これはEyeQ4の後継で、Q4の55%のサイズで超低電力・高パフォーマンスを発揮するものになる。
なお同社は2022年1月に、中国の浙江吉利控股集団(Geely)のプレミアムEV(電気自動車)ブランド「Zeekr(ジークロ)」に自動運転レベル4を搭載した車両を共同開発しすることを発表した。2023年に入ってからは、上海郊外に自動運転専用のテストセンターを開設している。
今回の発表では、11万人以上のZeekrの顧客に対して無線ソフトウェア・アップデートを実施し、最新ADAS(先進運転支援システム)「SuperVision」を大量に提供したことについても言及している。この成功が、中国の自動車メーカー最大手のFAWグループ(第一汽車集団)との提携につながったようだ。そのほか同社はスウェーデンの高級EVメーカーのPolestar(ポールスター)や、9社のOEMメーカーとも提携を行っている。
■アムノン・シャシュアCEOのコメント
MobileyeのCEO(最高経営責任者)であるアムノン・シャシュア氏は好業績の理由として、「製品面では、8月に実施したZeekr車両への試験的ソフトウェア『SuperVision navigate on pilot』の展開に対するフィードバックが非常に好意的であったことが、当社の先進製品の競争優位性を証明する重要なポイントとなった」とコメントしている。
また同氏はイスラエル情勢について、「イスラエルで発生した悲劇的な出来事が私たち全員に影響を及ぼしているが、強力な事業継続計画や新型コロナウイルス感染症による混乱の中で学んだ教訓、優秀なチームの勤勉さにより、混乱を最小限に抑え、ビジネスの優先事項を実行し続けることができた」と語った。
快進撃を続けるMobileye。今後ますますの飛躍が期待される。
▼Mobileye Releases Third Quarter 2023 Results, Updates Guidance and Provides Business Overview
https://ir.mobileye.com/news-releases/news-release-details/mobileye-releases-third-quarter-2023-results-updates-guidance
【参考】関連記事としては「インテル、自動運転技術で再び巨額売上確定へ 中国FAWと提携」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)