国土交通省はこのほど、最大で対象経費の2分の1を補助する「新モビリティサービス推進事業に係る追加公募」について発表した。公募の締切は10月20日。対象事業によって、補助対象者が異なり、主に交通事業者や地方自治体、関連協議会などとなっている。
この取り組みは、交通事業者のデジタル化や地域交通のキャッシュレス決済導入など、MaaS実
装に向けた基盤整備を図るための支援を行うものだ。また、MaaSの円滑な普及促進に向け、地域公共交通活性化再生法に基づく新モビリティサービス事業計画の認定・協議会制度の活用などについても支援するという。
前述の通り、補助率は最大で2分の1となっており、新モビリティサービスの推進に国としても力を入れていることが分かる。
▼新モビリティサービス推進事業に係る追加公募について
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000213.html
■支援対象は6つの事業
公募を行う補助対象事業は、以下の6つだ。
1. 新型輸送サービス導入支援事業
・AI オンデマンド交通、グリーンスローモビリティに係る部分
・シェアサイクル、マイクロモビリティ等に係る部分
2. 地域交通キャッシュレス決済導入支援事業
3. 地域交通データ化推進事業
4. 混雑情報提供システム導入支援事業
5. 新モビリティサービス事業計画策定支援事業
6. マイナンバーカード活用型交通サービス導入支援事業
補助率が最大2分の1になる事業は、「地域交通データ化推進事業」「混雑情報提供システム導入支援事業」「新モビリティサービス事業計画策定支援事業」「マイナンバーカード活用型交通サービス導入支援事業」の4つで、そのほかの事業の補助率は最大3分の1となっている。
■各事業の主な内容は?
補助対象事業の1つである地域交通データ化推進事業では、交通事業者と経路検索事業者などとの間のデータの受け渡しを容易にする、特定のデータ形式でのデータ出力を可能とするシステム構築に要する経費を補助する。
混雑情報提供システム導入支援事業では、公共交通における混雑情報をリアルタイムに提供するシステムの導入に要する経費などを補助する。これは感染症の拡大を踏まえ、公共交通機関の混雑緩和・利用分散を図ることを目的にしている。
また新モビリティサービス事業計画策定支援事業では、MaaSなどの新モビリティサービス事業計画の策定に必要な調査や、この計画の達成状況などの評価に関する事業への支援を行う。この事業では、事業者が事業計画を作成すると、国土交通大臣の認定を受けることができる。認定された事業計画に基づく事業については、交通事業者の運賃・料金の届出手続きをワンストップで行うことができ、スピーディーにMaaSなどを実用化することが可能になる。
【参考】関連記事としては「MaaSとは?次世代交通モビリティサービスの日本の現状は?(2023年最新版)」も参照。
■国をあげてMaaSの実装に乗り出す
MaaSについては導入する自治体も増えており、このワードが一般に徐々に浸透しつつある。MaaS導入には交通情報などのデジタル化が必須で、それには多額の費用が必要となるため、システム構築を支援する今回の施策は注目に値する。
アフターコロナや円安により戻りつつある外国人旅行者も、MaaSの普及により日本国内の移動が容易になる。国として実用化を検討している段階の自動運転やライドシェアについても、いずれはMaaSサービスを通じて利用が活発化する可能性が高い。
最終的にどんな事業者が採択されるのか、決定・発表後は自動運転ラボで内容を紹介する予定だ。
【参考】関連記事としては「MaaSの補助金制度、新年度の公募が続々スタート」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)