愛知県は、MaaSの社会実装に向けた実証実験を2023年9月15日から開始する。
愛知県では2020年度から、ジブリパーク開園で国内外から多くの観光客が訪れる名古屋東部丘陵地域を中心とする地域を対象に、MaaSの社会実装に向けた取り組みを行っている。2023年度は対象地域を中部国際空港を中心とする知多地域にも拡大し、トヨタ系のMaaSアプリ「my route(マイルート)」を活用した実証を行う。
この実証では、my routeと名古屋鉄道のMaaSアプリが連携する「MaaS間連携」も行われるという。
■MaaSアプリ実証で提供されるサービスは?
今回の実証では、「ルート検索」「デジタルチケットの発売」「交通予約」「MaaS間連携」「地域の情報発信」という5つのサービスが提供される。
ルート検索では、鉄道やバス、船、飛行機、タクシーのほか、自動車やシェアサイクル、徒歩を組み合わせたさまざまな移動経路が検索できる。デジタルチケットの発売においては、交通券8事業者14種類、施設券12種類、セット券2種類が販売される。今回からは、なごや観光ルートバスと名古屋城入場券のセットなど、交通券と施設券を組み合わせたセット券もラインアップされた。
交通予約サービスでは、NearMeが提供する中部国際空港と自宅やホテルをドアツードアで結ぶ定額相乗りシャトルサービス「nearMe(ニアミー)」と、Crystalが提供する電動キックボードシェアリングサービス「Su__i(スーイ)」が新たに実装される。
なおNearMeとCrystalは、愛知県が手掛けるスタートアップ支援拠点「PRE-STATION Ai」の参加企業だ。
■「my route」と「Cent X」が連携
今回の実証で用いられるMaaSアプリはmy routeだが、名古屋鉄道のMaaSアプリ「Cent X(セントエックス)」と連携し、my route上でルート検索から名古屋鉄道の特急車両券(ミューチケット)購入サイトへ遷移し、予約・決済ができるようになるという。
また地域の情報発信として、期間限定のデジタルクーポンの提供や中部国際空港での駐車場や免税品の予約、県内で乗車可能な自動運転バスなどの情報提供も行うようだ。
■国内最大級のMaaSアプリ「my route」
my routeは、トヨタファイナンシャルサービスが運営するマルチモーダルモビリティサービスだ。2019年11月から福岡県の福岡市と北九州市でサービス提供をスタートし、2020年1月には順次全国展開していくことを発表した。現在は日本各地で使用可能だ。
多様な交通手段を組み合わせたルート検索をはじめ、交通手段の予約や決済をワンストップで行うことができるほか、特典クーポンの提供などもできるMaaSアプリとなっている。
2023年2月にUI(ユーザーインターフェース)をフルモデルチェンジし、行ってみたい場所やイベントの情報を登録する「おでかけメモ」機能が加わったほか、「myステーション」で自宅や勤務先の近くの駅やバス停を最大6つまで登録できるようになった。ルート検索機能やチケット機能についてもUIを変更しており、より使い勝手が良くなっている。
【参考】関連記事としては「使い勝手、一から見直し!トヨタMaaS「my route」が刷新」も参照。
■自動運転実用化にも積極的な愛知県
愛知県での実証は2023年9月15日〜2024年2月15日の期間で行われ、スマートフォンやタブレット端末でmy routeのアプリをダウンロード後に会員登録をすると、誰でも無料で利用可能だ。
愛知県は、自動運転バスや自動運転タクシーの実証実験を行ったり、ドローンや空飛ぶクルマと自動運転車が統合するプロジェクト「空と道がつながる愛知モデル2030」が始まったりと、モビリティ関連で最新技術を積極的に取り入れている都道府県の1つだ。
自動運転車などの先進モビリティ技術とMaaSは切り離せない関係にある。今回の実証により、MaaSと自動運転の両方の取り組みスピードが加速しそうだ。
【参考】関連記事としては「「枝」も「起伏」もノープロブレム?愛知で自動運転バス実証実施へ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)