米フロリダ州郊外のアルタモンテ・スプリングス市でこのほど、自動運転シャトルサービスが開始された。運営は、フロリダ州と自動運転ソリューション開発を手掛ける米Beep(ビープ)が共同で行う。
毎日運行され、利用者は4つの停留所で乗り降りができる。運賃は無料。乗客はBeepのアプリで、リアルタイムで車両を追跡することができる。使用されるシャトルは仏Navya製で、自動運転レベル3に相当するようだ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3とは?(2023年最新版)」も参照。
緊急時などに対応するため、係員が同乗する。係員は、車内で車両のシステムなどを説明するコンシェルジュのような役割も務めるようだ。
ちなみにこの自動運転シャトルの運行にあたり、最初の3年間に必要な資金240万ドル(約3億5,000万円)の50%をフロリダ州運輸局(FDOT)が助成し、残りの50%は市が負担するという。120万ドルも州が負担するとは、先進技術の実用化の後押しに熱心な中国ばりの太っ腹だ。
■3年間の必要資金の半分を州が助成
アルタモンテ・スプリングス市は、フロリダ州セミノール郡にある人口4万5,000人ほどの都市だ。
自動運転シャトルサービスは「CraneRIDES」と呼ばれ、2023年7月24日からスタートした。住民や訪問者、企業向けに、現在の交通手段に代わる持続可能な交通手段を提供することで、商品やサービスへのアクセスを拡大することを目的としている。
また、他の自治体で自動運転シャトルサービスを導入する際の実験台として、データを提供する目的もあるようだ。そのためフロリダ州運輸局は、このサービスを行う最初の都市にアルタモンテ・スプリングス市を選び、最初の3年間に必要な資金の半分に当たる120万ドル(約1億7,000万円)をサービス開発助成金として援助する。
フロリダ州運輸局第5区の長官は「フロリダには毎日何百人もの人々が移住してくるため、新しい道路を建設することだけに注力することはできない。アルタモンテ・スプリングス市とのパートナーシップは、拡張可能で複製可能な都市モデルを生み出すことができる」との展望を示している。
■今後フロリダ各地での導入に期待
日本円にして約1億7,000万円という大金を自動運転開発に投入したフロリダ州だが、今後ほかの複数の都市でも転用するための実験台としての試みなら、費用対効果は十分見込めると言えそうだ。
米国でも道路渋滞や公共交通機関の不足などの問題は深刻になっており、その解決に寄与するとされる自動運転車の導入について、州単位で本気で挑んできていることを感じさせるニュースだ。
【参考】関連記事としては「うちの州は人間ナシでOK!フロリダ知事、自動運転実証を奨励」も参照。